アガパンサス 新潮流現る
2024.10.29
こんにちは。花研の一研究員です。
ネットメディア、フローラルデイリーの記事より、「業界初アガパンサスのピンク登場」の記事。
世界初なのですと。通常目にするアガパンサスは濃いブルーからムラサキが多くて、一部に白がありますね。
最近は流通量が減りましたが八重というのもあります。ピンクは確かに目にしたことがありません。実際にどのようなものかは記事をご覧いただければ幸いです。
さて、アガパンサスのような三大品目でもなければストックやヒマワリのように季節のメジャープレイヤーでもなく、比較的流通本数の少ないけれども、その時期には欠かせないプレイヤーについて、流通状況はどうなっているのかしら気になるとこ炉ではないでしょうか。花きの特徴として、そういうの、結構多いんですよね。
大田花きの取引データを統計処理したデータベース、ここほれわんわん(会員制ですがよろしければご利用ください)から一部ごご紹介いたします。
品種別、月別、旬別、出荷県別にもをデータ取れますが、今回はピンクのアガパンサス登場にちなみ、あえて色別にみてみたいと思います。
トップページの「色別実績」からお進みください。
切鉢の区別で「切花」を選び、大分類で「球根類」を選ぶと、比較的速やかにアガパンサスに辿り着きます。
こんなふうに色別に数量や金額、単価を確認することができます。
確かにピンクはなく、本数は意外にも白が最も多いと出ています。しかしここが注意で、「その他」という何色にも分類されていない色があり、青か紫か判断しにくいものが多くここに含まれているのではないかと思います。それが約4万本ありますから、やはり紫青系が最も多いのではないかと思います。
さて、アガパンサスのようなシュッとしたステムに丸い花序が着く花で、且つピンクカラーというのは、意外にも切花ではそれほど多くはありません。
鉢物ではアリウムやサクラソウにそのような形がみられますが切花のサイズに至りません。ただし最近では、アリウムサマービューティーという夏咲きのピンク系に発色するアリウムがあります。こちらはガーデン用ですが茎の長さが30cmぐらいはとれるようなので切花でのご利用もあることでしょう。
冒頭で紹介した記事にはアガパンサスの写真があり、見た感じ草丈が60cmほどはありそうです。60cmとはスーパーなどの量販店売り場の商品サイズとしては必要なサイズでございまして、この長さ以上か以下か、どちらが可能かでマーケットでの汎用性が異なってくる分かれ道を示す長さでもあります。
とはいえ、もし初夏にアガパンサスのピンク、夏に同系色のアリウムというように、似たような形の商品でピンクが流通するとなると、ガーデンデザインにもフローラルデザインにも影響があることでしょう。なにしろ日本人はピンクが大好きです。日本に自生する植物の花の色は白ないし黄色が多くあります。農研機構のサイトに花の色についての記載があります。それによれば白と黄色がそれぞれ30%を占めるようです。次いでムラサキ系、赤系・・・つまりピンクというのは自然界では本来あまり見られないものです。しかしマーケットに流通する切花で最も多い色は濃淡を含めてですがピンクです。つまりそれは、品種改良と業界挙げてのマーケティングの成果なのです。
さてさて日本人の感性にそぐうピンク系の新商品、ナチュラルガーデンの流行で宿根草はまだまだ人気が続くでしょう。日本向けにとてもインパクトがある発表です。近い将来、日本のマーケットでもアガパンサスにお目にかかれることを楽しみにしています。
それではみなさま、ごきげんよう。
アガパンサスの切花流通期もご確認いただけます。
★金木犀の香り★
2024.10.28
花研の一研究員です。
東京では金木犀(キンモクセイ)の開花は終わってしまったのですが、本日は金木犀ネタでご容赦ください。(以下「キンモクセイ」)
10月になると視覚より先に嗅覚で気づかされるキンモクセイの開花。濃厚な香りを頼りに、どこだどこだとキョロキョロしますと、やっと黄金色の小花を見つけることができます。香りがなかったら、なかなか気づけないかもってくらい。
さて、キンモクセイについてネットで調べると、原産は中国と書いてあるページが多いのですが、キュー植物園のサイトで調べるとキンモクセイのNativeエリアは、Assam, Cambodia, China North-Central, China South-Central, China Southeast, East Himalaya, Hainan(海南), Japan, Myanmar, Nepal, Taiwan, Thailand, Vietnam, West Himalayaです。
そうなんです、日本も原産地のようです。
一方で、多くのサイトには江戸時代に日本に入ってきたとあります。はてさてどうなんでしょうか。資料によってはなんだか書いてあることが違うようなこともあり、混乱しますな。
どうやら調べてみますと、日本はもともとキンモクセイの原種はあったけれども、いま私たちが見るオレンジ色の濃い色とは異なりらしいと。濃いオレンジ色のキンモクセイは海外から導入されたもののようです。
はい、そのキンモクセイの切枝は、以前小欄でもご紹介させていただきました通り、昨今取引が増えております。
2023年10月20日「キンモクセイ・パートⅡ★金曜日は金木犀のトピックで締め」
2023年10月19日「ここほれわんわん」活用塾第8弾 ~キンモクセイの取引動向を知る~」
そんな折、最後に宣伝です。
なんと、フラワービジネスノート2025には、キリエダのキンモクセイが一体全体いつ流通するのかが書いてあります。Data16流通品目早見表を開け、ゴマ。
ではまた。
タマネギの木
2024.10.08
こんにちは。花研の一研究員です。
ある日、公園を歩いていたら、前を歩いていた男の子が、
「ママ見て!木にタマネギがなってる!」
と。
なぬ?
“そんなはずはあるまい”と男の子の言葉には微動だにしなかったママより先にタマネギの木を見上げたアタクシは、あ~なるほど、タマネギねと。
ぱっと見、ほんまにタマネギがなっとるやないかいといった感じ。
こちらです。※男の子がいたのは昼間ですが、写真は夜に撮影。
実際の時間以上に長く感じられた3秒後、声をかけられたママは、男の子の妹が乗るベビーカーを押しながら、ゆっくりをタマネギの木を見上げ、
「タマネギじゃないけど、うにゃむにゃ・・・・」
はい、ズームにするとこんな感じ。
もうお分かりですね。ザクロです。
しかも結構実が大きいですね。モノレールの流通センター駅前のものよりは数段に大きい。
以前ご紹介した東京モノレール流通センター駅前のザクロはこちら。品種が違うようです。
男の子が指差したザクロは若干熟して赤みがかっていて、タマネギに見えなくもない。
よく見ると、熟れて割れた実もいくつかありました。小さいころに田舎で採ってきて食べたザクロに極めて近い。もう少し赤かったけど。
男の子がタマネギだ!と叫ばなければ、アタクシもそこにザクロがあったことすら気づかなかったかもしれません。
ザクロは耐寒性もあり、マイナス20℃以上を保てればいいようです。5℃以上でよく生長し、耐暑性もあるようで38℃くらいまでは大丈夫なようです。43℃超えると高温障害が出て、葉の色が薄くなったり、葉先が枯れたりするようですが、害虫にも強く管理しやすいようです。
もしかするとみなさんの身の回りにも意外と多く植栽されているかもしれません。
マイナス20℃から(プラス)40℃くらいくらいまで耐えられるとは、7オクターブの声域を持つといわれたマライア・キャリーみたいな植物やね。
それではみなさま、ごきげんよう。
ここほれわんわんもおすすめです。わんわん内に会員様限定で掲載している「花研カレンダー」もぜひご活用ください。
ミモザは増えているのか
2024.03.05
こんにちは。みんなの花研ひろばです。
3月8日は国際女性デー。そしてミモザの日でもあります。
イタリアではこの日に男性が日ごろの感謝の気持ちを込めて、身近な女性にミモザを贈る文化があり、ミモザが国際女性デーのシンボルの花としてよく知られるようになりました。
ちょうどミモザのシーズンでもあることから、国内でも街中でミモザのリースやミモザの香りの石鹸や入浴剤、香水、雑貨を販売しているところを見かけることがあるのではないでしょうか。
ではいつごろからミモザがこんなに話題になるようになったのかと思い、PRtimesというプレスリリースを配信するサイトで「ミモザの日」と検索してみると、ヒットしたのは全部で1,289件(2月29日時点)。
うち。2024年1~2月のリリース件数は120件、2020年の1~2月は32件だったので、単純計算ですが、4で年間で4倍近くまでリリース数が増えていることになります。
さて、生花のミモザの取扱も増加傾向です。大田花きでの取扱数量を「ここほれわんわん」で調べると、2020年から2023年の4年間で約2倍に増加していました。(ここほれわんわんは2週間お試し無料です)
さらにちなみに国際男性デーは11月19日、国際トランスジェンダー認知の日は3月31日だそうです。それぞれにシンボルフラワーを花業界から提案してみるのも一つかもしれません。
それではみなさんごきげんよう。
今週の中央通路(大田市場花き部)
2024.02.01
こんにちは。みんなの花研ひろばです。
現在、大田市場花き部の中央通路には徳島県阿波洋らん青年倶楽部のみなさまの切花シンビジウムが展示されています。(2月9日まで)
徳島県はシンビジウム生産が盛んで、切花の県別出荷量(2022年度大田花き)は年間で最も多くなっています。
※↑こういうデータ、ここほれわんわんで簡単にご確認いただけます。しかもcsvファイルに落としていただくこともできます。
今回の展示は全部で32品種。爽やかな香りもほんのり漂っています。
注目すべきは染め品種です。
染め品種が集められた展示の島ができて・・・以下、染島(そめじま)・・・10種類ほど展示されています。日頃、花に携わる業務をしている方なら、この染島の前で歩みを止めずに通り過ぎることはできないでしょう。
こちらのシーラバーズという品種は、中でもピカイチに魅力的(個人的見解です)。
紫、青、緑色、ライムグリーンのグラデーションが透明感を演出しています。光が透けると透明感が増して幻想的な雰囲気さえ醸し出します。
シーラバーズとは「シーラ・バーズ」??名前の由来は何かと思いましたら、Sea Lovers!!!でした
つまり「シー・ラバーズ」。言われてみればぼもっとも。沖縄の海かカリブ海か、はたまた徳島の北の脇海水浴場かわかりませんが、海をこよなく愛する方が本当にきれいな海の色を想像して名付けたことが伝わってきます。これすごいですよ、ほんと。
そのほか、こちらも染め品種です。
グレープ
ミント
なんだかもはやヒスイカズラの雰囲気がありますね。
チェリー
アッカ
キャメル
かっこええな。生々しさというか(←ホメテマス)肉感的というか(←120%ホメテマス)、ベージュでありながらめちゃくちゃフレッシュ感漂う感じ。シンビジウムの肉厚なペタル、セパルだからこそ表現できる質感かと。よくこの色を出したものだなと感心してしまいます。
パープルシタン
これは使いやすそうなカラーグラデーション。
ブラック
花脈が美しく浮き出ていて、芸術的。
このような素晴らしい染め新色開発の裏には、「染め染めクラブ」の存在があります。阿波洋らん青年俱楽部さまによってトレンドに合った色を開発していこうと結成されました。「米米クラブ」ではなく、「染め染めクラブ」。これまた上手に名付けたものです。染め上手な生産者さまが染め染めクラブの中で染め技術を伝授・共有し、品質のムラができるだけないようにしているのだそうです。
ちなみに、当社では昨年春と冬の2回ほど、徳島県のシンビジウム生産者様を取材させていただき、大田花き「産地ウンチク探検隊」にて紹介しております。全部で4軒ほどご紹介しておりますが、もちろんみなさん阿波洋らん青年倶楽部にご所属されています。
その時の記事はこちら↓
素晴らしい花ができあがる背景にどのようなことがあるのか、生産者様のフィロソフィーやスピリットを垣間見ることができると思います。
機会がありましたら、ぜひ大田市場2階の展示会場で実物をご覧くださいませ。
それではみなさまごきげんよう。
切花支出金額と購入頻度のただならぬ関係
2023.06.12
こんにちは。みんなの花研ひろばです。
一世帯当たりの切花支出金額(及び園芸植物に関する支出金額)については、毎月「ここほれわんわん」の花研カレンダー内で最新情報をお知らせするとともに、年間の支出金額については折に付けご紹介させていただいておりました。しかしながら、いつもご紹介するのは金額ばかりで購入頻度(年間回数)については触れたことがあまりなかったかもしれません。
そこで、購入頻度にも注目し、2000年からの23年間のデータから年間支出金額と回数をプロットしてみますと、まあ何となくこうなるわけです。
↓データ元「家計調査」一世帯(二人以上世帯)あたりの切花支出金額と購入頻度
「回数が増えればそりゃ金額も増えるに決まってんじゃん」と思われるかもしれませんが、はい、そういうことですね。
つまり、一世帯あたりの切花支出金額が1997年以降(税込みの場合)減少した理由の一つは、購入回数が減ったからということでもあるかもしれません。2000年以降年間支出金額は概ね減少傾向ですが、調べてみますと1回あたりの支出金額より年間の購入頻度の減少の方が著しいようです。
単純に増減を2000年と比較してパーセンテージで見た場合、一世帯当たりの支出金額は2022年は2000年の69%。単純計算ですが3割くらい減少しています。
1回あたりの支出金額は2000年は1,123円、2022年は1,029円なので92%。1回の購入単価は1割も減少していないくらいだったのですね。
1年間で切花を購入する回数を見ますと、2000年は10.29回だったのが、2022年は7.77回(過去最少)で76%。やはり購入頻度の低下は、世帯当たりの支出金額の減少に影響しているのではないかと思います。
花きの消費振興のためには何より生花売り場に足をお運びいただき購入機会を増やすこと、ECサイトでも閲覧していただく機会を増やすことが重要なのではないでしょうか。そのためには、生活者に幸せや楽しみ、慰めを感じていただけるような提案、目を引くキャッチ、興味を引く体験型の提案だったり、これまでに買ったことがないようなちょっと新しい提案が求められているように思いました。
それではみなさま、ごきげんよう。
平和島スイートピー
2022.06.06
こんにちは。みんなの花研ひろばです。
今日は6月6日「あじさいの日」。「環七沿いにアジサイが咲いている!」という生活者情報には、興味があっても特段驚くことはありません。今のシーズンならですが。
しかし、「今、平和島にスイートピーが咲いている!」と聞いたら、「なぬッ?」ちょっと見に行きたくなるのが心情でしょう。しかも「ちょっと赤め」と追加情報があれば、いったいどんなものが咲いているのか確認しなくてはと使命感にかられるものです。
ということで、会社帰りに随分遠回りをして「現場」に出向きました。そこは東京モノレールの流通センター駅から歩いて15-20分くらいのところです。会社からですと徒歩30分弱くらいのところです。
行ってみますと、いや~オトギリソウばかりじゃないか!あとカシワバアジサイとちょっとだけ普通のてまり咲きのアジサイが混じっている感じ。スイートピーの姿なんてどこにもない!空振ったか。
まあ、それもしゃーないと踵を返しながら、見落としはないか最後に首だけ振り返って遠くを見渡すと・・・遠くに小さなピンク色が見える。
あのピンクは??
WOW!!(*’▽’*)♪見つけました。遠目に見えたピンク色はスイートピーでした(o´艸`)
宿根スイートピーですね。宿根なら今咲いていてなるほどと思います。しかし、日常の風景の中に溶け込んでしまえば、なかなか気づけないこともあるでしょうし、平和島の生垣に今スイートピーが咲いているなんて思いませんから、なかなかの発見です。これを勝手に平和島スイートピーと名付けることにしましょう。鞘ができていて小さな種がたくさんついていましたので、もう少ししたらまたこのタネが熟して飛び散って、ここ一帯に宿根スイートピーが増えていくことでしょう。
みなさまの生活圏の中でも、日常の景色に溶け込みスイートピーが咲いているかもしれません。
見つけたら花研まで写真とともにご一報いただければ幸いです。小欄にてご紹介させていただきたいと思います。
hanaken★otalab.co.jp
★をアットマークに置き換えてお送りください。
ついでに本年度のセミナーや講演等の講師をお探しの方、各学校における市場見学+座学コースをご検討中の方、ここほれわんわんのお得な親子プラン活用をご検討中の方など、よろしければ上記アドレスまで、お気軽にお問い合わせいただければと思います。
それではみなさま、ごきげんよう。
「寒い、寒い!なんでこんなに寒いんですか!」の何気ない一言で起こる想定外のコト
2022.01.17
こんにちは。泥油育子です。
本日はラジオ当番でした。(NHKラジオ「マイあさ!」~市場情報~)
フリージアをご紹介させていただきました。
#マイあさ 市場だよりは「#フリージア」。#大田市場花き部 #内藤育子 さんです。上品な甘い香りがただよってきそうなフリージア。切り花としても人気があります。https://t.co/KAaeY2iadC pic.twitter.com/QNi84Ep8qA
— NHKラジオニュース (@nhk_radio_news) January 16, 2022
スタジオにはピンクの一重のフリージアをご用意いただいたようで、フルーティな甘い香りがスタジオに漂っていたようです。
「幸せな気分になる素敵な香りですね。とても気に入りました。良い花をご紹介いただきありがとうございました」
と放送後にディレクターさんにおっしゃっていただきました。
次回のラジオ当番は2月14日です。よろしければ耳を傾けていただけますと幸いです。
さて、1月20日大寒を目前に、泥油は日々寒さとの戦いになっています。先月は公私ともにやや忙しさが増したこともあり、免疫力が低下したときに発症するという体調不良に初めて見舞われ、医者に駆け込みました。(コロナや他人様にうつるようなものではありませんのでご安心ください)
暑さに対しては昔から比較的我慢強いのですが、何より寒さが苦手な泥油。事務所で仕事しているだけで冷えすぎて手足がしびれるほど。そんな寒さにしびれを切らして(いや、しびれっぱなしですが)、
「寒い、寒い。なんでこんなに寒いんですかねー」
と思わず独りごちてしまいました。
すると、そのあとは想定外の展開が待っていたのです。
すかさず、ボンソワール桐生から叱責の一言が発せられました。
「何言っているんですか、泥油さん。
今年は寒いに決まっているんですよ。そんなこと半年も前からわかっていたのに、いまさら何を言っているんですか」
泥油。
「え。」(まじぽん? (*・.・*) !そういう返し、初めてなんですけど・・・)
ボンソワール。
「今年はラニーニョ現象で日本列島の周りの海水温度が低いから、寒くなりますよと気象庁から半年も前に発表されていたでしょ。
エルニーニョとラニーニョがあって、今年はラニーニョ現象が発生する見通しってずっと言われていましたよ。なんで寒いかなんて、ラニーニョ現象だからに決まっているじゃないですか。」(何言っちゃってんのよ的な)
泥油。
「そか。そー言えば、今年はラニーニャ現象で寒くなるって言っていましたね。でも12月中旬までそれほどじゃなかったので、ハズレたのかなくらいに思って失念していました。」
そもそもハズれないか。確かに中旬をすぎたくらいからひどく寒くなって、関東でも12月25日には雪が舞いました。そこでラニーニャの発表を思い出せなかった~。
どれどれ、慌てて気象庁のHPを見てみますとラニーニャ現象の発生確率は2021年11月100%、12月100%、2022年1月100%、2月で80%、3月で70%とあります。しかも1月後半から2月前半が寒気のピークだそうです。二十四節気の通りまさに大寒の期間が最も寒いときになりそうです。
同ページに、「(50%以上で)ラニーニャ現象が発生する(続く)可能性が高い」とありますから、こりゃピークアウトしてからも暫くお寒うございますな。通常に戻るのは5月くらいと思っておいた方がいいでしょうか。
「ところでボンソワール所長、ラニーニョではなくラニーニャですよね?」
ボンソワール。
「そうですよ。だからラニーニョって言っているじゃないですか」
泥油。
「“ラニーニャ”
・・・ですよね。にゃ。」
ボンソワール。
「当り前じゃないですか。ニャですよ。さっきからラニーニョって言っていますけど、なんだっていうんですか?」
泥油。
「はい、そうですね。じゃあ“ニャ”で。」
ボンソワール。
「ちゃんと言えてますよ。“ニャ”でしょ、“ニャ”!・・・ラニーニョ現象!」
泥油。
「・・・。」
大人と共通言語をやっとしゃべり始めた幼い子どもが「言っているつもりで言えてない」現象が起こりました。ここではこれを「ラニーニョ現象」と呼ぶことにします。
いずれにしても、花研としては「ここほれわんわん」の「花研カレンダー」コーナーでもお知らせしていたことですし、油断せずに気候をウォッチしていないといけなかったのに、今年寒いことを忘れてしまうなんて、花研ブロガーとしてあるまじきことでございました。(猛省)
今年寒いのにはワケがある。
ワケがあり、そのワケに基づいて生産者さんたちは日々思考を巡らし、不足のないように花きを生産してくださっているのです。
なんで寒いの!?なんて、決して気軽に独りごちてはいけないのです。少なくともこの花研内、農業生産業界では。油断してポロッと口にしただけで、生産性のない小競り合いが始まりますから(多少の生産性は期待できるかもしれませんが)、これまた厄介ですよ。
ということで、「“なんでこんなに寒いんですか!”は禁断のフレーズ編」をお届けしました。
それではみなさま、寒さにご留意の上、快適にお過ごしくださいませ。
ごきげんよう。
スーパー・量販店の花売り場はセカンドステージに入るか
2021.11.04
こんにちは。泥油育子です。
なんでもそうですが、例えばテレビ番組ひとつにしても、制作時点で明確にターゲットとしている視聴者層があり、自分自身がそのコアターゲットから明らかに外れているなと思うことが非常に多くなりました。もはや決まった時間帯に決まったチャンネルを観るくらいで、テレビ番組から情報や娯楽を得る機会はとても限定的になりました。泥油と同世代の人に伺ってみますと、ネットフリックスとyahoo!ニュースを見るようになり、テレビは全く観なくなったと言っていました。
翻って花業界はチャネル別、あるいは店舗別に長期スパンでターゲットを据えて(あるいは見直して)商品展開をしているでしょうか。短期的に見ると確かにきめ細やかなマーケティングをして、大変素晴らしい売り場づくりをされているところをよく見かけます。では長期スパンではどうでしょうか。
例えば、スーパーというチャネルにおいては、ファーストステージで50歳代以上を狙った仏花束を販売し成功しました。食料品と同じ場所でワンストップで花も買えるという利便性が功を奏し、時代の新しいチャネルを確立したといっても過言ではないでしょう。スーパーマーケット白書によると、全国のスーパーにおける花売り場の設置率は今や97%にも及びます。つまりほぼすべてのスーパーに花売り場はあるというわけです。現に全国消費実態調査のデータ(2019年)から算出すると、既にスーパーで生花を購入する金額シェアは生花専門店における金額と同じで、量販店を合わせると生花専門店を凌駕する計算になります。金額が同じということは、恐らく本数では数年前には生花専門店を超えていたと想像できます。
しかし、そのスピードは2014年に発表されたものから試算するより若干鈍化しています。恐らくスーパーではセカンドステージにきていて、これまでの成長モデルから一歩進み新しい提案をしていく必要があるのではないかと思うのです。例えば、若い世代のデイリーフラワー需要を狙うとかホームユース、インテリアとして楽しめる花(そうなるとインテリアのパターンも想定して)や知人宅にお邪魔するときのちょっとした手土産の花、あるいは現実的には障壁が高いかもしれませんがサブスクスタイルもいいかもしれません。季節の花でこれが旬だからとか、色合わせでこれがかわいいからとか、コロナ禍で伸びてきたこのようなニーズを追い風に新しい売り場を創造していくときに来ているのではないかと思います。「季節の花で旬だからこの花」とか、「色合わせでかわいいからこの花の組み合わせ」というスタイルではプロダクトアウトになってしまいます。花を主語にせずに生活者のライフスタイルを想定したマーケットインの提案が必要でしょう。
もちろん既に多くのスーパー・量販店さんの生花売り場がとっくにセカンドステージにおける充実した提案をされていることは承知しているつもりですが、一方で全体で見ればその手前の成長の踊場で提案されているところが大半のように思います。ユニクロやサブスク、生花店以外の生花販売所など、新しいチャネルも台頭してきていることから、早めにモデルチェンジ、もしくは新モデルを追加していく必要があるのではないでしょうか。
こちらは、あるスーパーで拝見したプチブーケです。写真はいずれもスーパーの無人花売り場のものです。
スーパーAの花売り場
スーパーBの花売り場
その日によって多少の違いはありますが、セカンドステージにステップインされた感じがあります。個人的なアイデアにすぎませんが、スーパー・量販店さんの花売り場が新しいステージでさらに売り場を活性させるには、小売店の要素を取り入れていくことが重要かもしれません。
ちなみに私どもで提供しております「ここほれわんんわん」に掲載している花研カレンダーでは、毎月品目にスポットを当て、専門店カテゴリーと量販店カテゴリーどちらの買い上げが伸びてきているか、2017年から2020年まで暦年で追跡し紹介しています。
例えば12月はストックとグロリオサにフォーカスしています。こんな感じで量販店カテゴリーが伸びてきていることがわかります。
↓赤丸が量販店カテゴリーに分類される買参人様の買い上げシェアです。年を追うごとに買い上げシェアが上がってきていることがわかります。
11月はディスバッドマムとネイティブフラワー、10月はアルストロメリアとダリア、9月はケイトウとリンドウ、8月はクルクマとヒマワリ、7月はデルフィニウムとトルコギキョウ・・・(あとは花研カレンダーをご参照ください)が掲載されていますので、ぜひご参照くださいませ。ほぼすべての品目で量販店カテゴリーのシェアが伸長傾向にあります。
ここほれわんわんサイトはこのようなこのサイトにしかないオリジナル分析データもぜひご活用いただけますと幸いです。
ついでにフラワービジネスノートはこちら。
それではみなさま、ごきげんよう。
レモンが人気?
2021.03.16
こんにちは。ボンソワール桐生です。
先週の小欄に続き、2月15日号の花き園芸新聞からもうひとつ。
レモンが人気ですという話題が掲載されていました。生花店さんに聞く2020年の動向という特集記事で、いくつかの業態の方に話を聞く中にありました。
イオンの都市型スーパーであるまいばすけっと、略してまいばすには私自身もよく足を運びますが、アルコール飲料の冷蔵ケースにおけるレモンチューハイのシェアは20%はあり(個人的な目視での印象です)、レモンが人気なのももっともだと思います。
大田花きの取引データではどうでしょうか。ここほれわんわんで調べてみました。レモンという単独の分類コードがないのですが、品種名にレモンと記載があるので該当する品種を集計し調べてみました。大田花きのコード体系では、品目コード1150ミツキモノボンサイルイの中にレモンは入ります。2020年度/2019年度では扱い鉢数が145%増です。感染症拡大によりご自宅で園芸植物を嗜まれる方が増えたのでしょうか。
ここ数年で定着した「家で花見」というスタイルも、切枝の桜需要に影響を及ぼしているかなと思います。特に昨年、今年と都内では典型的なスタイルでの花見ができない、しかし桜を愛でながらお酒を飲みたいということもあり、お酒×桜の切枝という組み合わせも需要が高そうです。今年は、桜の需要は今年は遅くまで尾を引くのかなと思われますが、初夏になれば引き続きレモンの需要は続くでしょうし、数年前からもモヒート(ミントを度数の強いお酒に入れるカクテル)が流行っているので、ミントなどのハーブ類もいいのかなと。
脱線しますが、焼酎には金魚というカクテルがあります。焼酎炭酸割に、水草に見立てた大葉、金魚に見立てたトウガラシを入れたもので、お気に入りです。大葉やトウガラシを自宅で育て、暑い時期はこのカクテルを楽しむのも乙かもしれませんね。
ということで家飲み×ガーデニングには計り知れないポテンシャルがあるのかな~なんて思いまいた。
私はそんなに飲んでいませんよ。 かしこ
追伸
レモンのイエローは今年のトレンドカラーでもあります。閉塞感を打ち破るイエローはついつい選びたくなる色。
そういう無意識のようなトレンドもあるかもしれません。本コラム「パントンのカラーオブザイヤー2021を使い倒す」(2021年2月16日)もご参照ください。