花研コーヒーブレイク
広島花活シンポジウム
2015.07.02
6月30日に開催された広島花活シンポジウムに参加させていただきました。
主催は、広島花きイノベーション事業推進協議会(会長:和田由里氏=株式会社花満代表取締役社長)。今回の主旨は、昨年の花活シンポジウムでのキックオフから1年、活動報告と今後の課題についての検討でした。
第1部、基調講演は日本園芸福祉普及協会理事長吉長成恭(よしなが・はるゆき)先生。広島国際大学心理科学部感性デザイン学教育研究室の教授でもいらっしゃいます。人と植物の関係についても造詣が深く、書籍「植物と人間の絆」を監訳されています。その内容を元に、植物と人との関係性についてお話されました。
第2部は、吉長先生を交えパネルディスカッション。
コーディネーターは昨年に引き続き中国新聞社文化部くらしデスクの木ノ元陽子氏。もう私は、この方以上にパネルディスカッションを上手に進めるコーディネーターを知りません。(パネルディスカッション自体、あまり拝見したことがありませんが^ ^;)いずれにしても、毎度毎度木ノ元氏の機転と頭の良さが光るコーディネートでございました(脱帽)。
パネラーは吉長先生のほか、以下の通りです。
なにわ花いちば 代表取締役社長 大西 進 氏(なにわ花いちばさんの長年取り組まれていらっしゃる花育活動について、心温まるお話)
NPO法人 緑の風景 理事長 高松 雅子 氏(園芸福祉士さんで、各施設で花活を実施してくださる)
株式会社 ライフアシスト 専務取締役 門田 晃 氏(花活を受け入れる高齢者施設代表として。グループで全国50か所に高齢者施設。東京は銀座7丁目にも)
新宅生花店 代表 森沢 有子 氏(花活の現場に花を届ける広島の生花店さん。花活用生花お届けの工夫と責任を語っていただきました)
花研ブロガー2号・・・今後の花活の全国における社会定着を祈りひとこと。あまり偉そうなことも言えないのですが。
活動報告によりますと、高松氏は2014年度は広島で20か所の施設において実施。(高齢者施設中心)受講者473名。
施設運営の立場からお話された門田氏のお話が印象的でした。
花を使ったリハビリテーションは、うまくできなくても高齢者を傷つけないところが良いところ。例えば、ボールを右から左に移して、穴に入れる・・・というような単純な作業だと、できなかったときに「こんなこもできない」と自分自身を傷つけてしまうと。しかし、広島の花活プログラムであれば、本人を傷つけることもないし、最後には笑顔が残る。利用者、及びそのご家族の満足度が高いそうです。
門田氏自身、花に対する思い入れが特に強いわけではないということでしたが、花活を通して花のパワーを実感し驚いていらっしゃるとのことでした。また、花活プログラムが施設価値の向上にも繋がっていると花活の効果を分析されていました。今後は単なるレクリエーションとしての活動ではなく、自立支援や作業療法として取り入れる可能性もあるということです。
来場者は220名。会場には、広島から全国に名を馳せるバラの育種家今井ナーセリーさんがお見えでした。最前列で熱心に耳を傾けていらっしゃいました。また最後には闊達なご意見、ご質問なども賜り、今回の花活シンポジウムも盛況のうちに幕を閉じました。
国からそれぞれの県に補助金が捻出され、花き生産振興が実施されていますが、各県の様子を拝見するに活動内容はそれぞれ。
広島の活動は政策が一環していて、またストーリーがあり、あらゆる分野の人を巻き込んで継続的に行っていらっしゃるところ、生産側からプッシュしていくのではなく、消費(マーケット)から作るということなどのポイントがお手本となるように思います。また補助金制度がなくなってからも、花がQOL(生活の質)の向上に一役買い花文化が定着、自然に花が生活に取り入れられるところまで見据えていらっしゃることは、本当に素晴らしいですね。
広島が花の街として全国に名を馳せる日も近いかもしれません。