OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

花瓶に漂白剤を入れるのは有効か?

2015.07.23

いよいよ梅雨が明け、1年で最も暑い時期を迎えました。

必然的に花業界でも日持ちが課題となるときです。

テレビや雑誌など各メディアでは、ご家庭で花を飾る際は“花瓶に漂白剤を1滴入れるとよい”と紹介されていることがありますが、本当に漂白剤は花持ちにとって有効なのでしょうか。

 

旬の花ヒマワリを買って実際にやってみました。

ヒマワリは茎の周りに薄毛がついていて、これが元で水が傷みやすく、延いては日持ちも悪くなってしまうことがある花材です。従って、お客様に管理方法をご案内するときは「浅水(あさみず)」といって、花瓶に入れる水は深さ1-2cm程度の浅い水で管理するようお願いしています。

水が傷みやすいといわれるヒマワリなら、漂白剤の効果の有無がわかりやすいでしょう。

 

さて、ヒマワリを10本購入し、5本はオフィスの人たちが楽しんでいただけるようオフィスに飾りました。通常の切り花栄養剤を入れて、浅水で管理。

5本は自宅に持ち帰り、3本は漂白剤を1滴入れた花瓶に、2本は切り花栄養剤を入れた花瓶に挿しました。

SF

 

 

何が起きたでしょうか。

漂白剤を入れたヒマワリは3日ともたずしおれていきました。花市場で買ったヒマワリなのに、購入日から3日目を待たずに観賞価値を失ったのです。

シオシオと縮れるようにしおれていったのです。

一緒に挿していたアイビーもダメになりました。アイビーは、大変丈夫な植物で、通常の水に挿しておけば、他の花は枯れても、そのうち発根してきてますます元気というほど丈夫な植物です。それでも尚、ヒマワリと一緒に枯れていったのです。

他のヒマワリはどうだったか。

会社に置いた5本は、もちろん1週間以上持ちました。最後の1本は10日近かったでしょうか。

水は3-4日に1度、濁りに気付いたら取り替えたという程度です。

自宅で漂白剤を入れなかった2本も、1週間は悠に楽しめました。

私が入れた漂白剤のパワーが強すぎたのだと思いますが、入れたのは1滴のみ。1滴は1滴です。自分で買ったのですから、もちろん枯らしたくない気持ちは同じです。

 

漂白剤を使つとよいという意味は分かります。花瓶の中のバクテリアの繁殖を抑えますから、確かに水は濁りませんでした。

しかし、ヒマワリとアイビーはあっという間に観賞期間を終えました。

花瓶に漂白剤を入れると、花色が飛ぶ(褪せる)とおっしゃる先生もいらっしゃいます。いずれにしても、花にとっては良いものではありません。

 

漂白剤を入れましょうと紹介されるとき、何より1滴というのが怪しい・・・と思っています。

水350mlに対しても、1000mlに対しても1滴なのでしょうか。

しかも「1滴」というのは人によってだいぶ差があります。私のように失敗することもあります。場合によってはうまくいくかもしれませんし、結果は一か八かになるということです。

 

それでも花の流通や販売に携わる立場で、消費者の皆様に漂白剤の使用をお勧めしていいのでしょうか。

漂白剤はキッチンツールの漂白・殺菌など、本来の目的にご利用いただきたいと思います。その目的であれば私も頻繁に漂白剤を使っています。しかし、それは花用ではありません。

ついでに申し上げれば、その①

漂白剤と同様に湯揚げも紹介されるときがありますが、これもご家庭では必要ないでしょう。なぜなら、既にそれぞれの生花店できちんと水揚げされているからです。

ついでに申し上げれば、その②

「水切り」と言われる「水の中で切り戻しを行う」という方法も効果については疑問視される品目も多いようです。

 

 

話を戻して、例えばお子さんと一緒に花を活けるときに、漂白剤を入れようということになるでしょうか。

小さなお子様とブクブクと沸騰したお湯を使って湯揚げをするでしょうか。

お子様と一緒に花を生けるなら、現在はこんなにキャワイイ切り花栄養剤がありますし、

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通常の切り花栄養剤は効果の高いものがたくさんあります。

これからの季節、もし少しでも長く花を楽しんでいただけるようであれば、是非切り花栄養剤を使ってください。

結果が安定しない漂白剤や湯揚げ等はお勧めいたしません。

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