花研コーヒーブレイク
栴檀(センダン)の香り(シンヤワールド)
2015.05.26
関東では5月中ごろから栴檀(センダン)の花が咲き始めました。栴檀はセンダン科センダン属の落葉高木で樹高は15メートル以上、一般にはあまり馴染みのない植物です。
花言葉は「意見の相違」。
5月~6月にかけて白と淡紫色の小さな花をたくさん咲かせますが、とても甘く高貴な香りを放ち、その香りはチョコレートやバニラにも似ています。
オンシジュームの「シャリーベイビー」という品種がチョコレートやバニラに似た甘い香りを放ちますが、10メートルを超える大木でこのような甘い香りを持つ花を咲かせる植物はそうはありません。
「栴檀は双葉より芳し」のことわざで知られていますが、ここでいう栴檀は全く別の植物の白檀(ビャクダン)を指しています。
白檀(サンダルウッド)は香木として木材の香りを利用しますが、栴檀の花の香りも白檀に似て高貴です。
栴檀はあまり知られていない植物ではありますが、近年空き地や公園、街路樹周りでその幼樹を見かけることが多くなりました。庭先や公園等に突然セリ科植物のような葉、またはトマトに似ている葉の植物が威勢よく生えていたら栴檀の可能性があります。
(栴檀の大木)
(栴檀の実生苗)
鳥の糞に混じって発芽・繁殖します。園芸店やホームセンターには栴檀の苗はまず出回らないため、ある意味貴重なのですが・・・
(切り枝は市場流通があります)
生長が非常に早く、根元から刈ってもすぐ生き生きとした新芽が出てしまう栴檀の駆除は困難を極め、完全に根から引き抜かない限り根絶は難しい植物です。
昔は棺桶や死者の杖を作る際、栴檀を利用していたと伝えられ、不吉で縁起の悪い植物で本来は庭に植えるべきではないのですが、生き生きとした葉を茂らせ、生命力に満ち溢れた栴檀は私達に元気を与えてくれる植物でもあります。
また最近では栴檀の抽出成分を利用したインフルエンザの予防や治療の研究も進んでいるそうです。
(む)