花研コーヒーブレイク
サン・ジョルディの日
2015.04.23
今日、4月23日はサン・ジョルディの日。
あまり馴染みがありませんが、スペインのカタルーニャ州で生まれた伝説に基づく花と本贈りの文化です。カタルーニャといえばバルセロナを中心とした自治州で、スペインからの独立を巡る動きを見せている所でもあります。(昨年11月に独立の是非を問う住民投票がありました。)
サン・ジョルディの日には、男性から女性に愛の象徴である赤バラを、女性から男性へは知の象徴である本を贈るのです。
そもそもはカタルーニャ地方に伝わる昔話に始まります。カタルーニャには住民が恐れおののくドラゴンがいて、ある日王様の娘が生贄に差し出されるときが来ました。お姫様が生贄に差し出されたその瞬間、白馬に乗った騎士がピカーーーンと現れ、ドラゴンをを一突きで仕留め、お姫様を救い出したといいます。その騎士こそサン・ジョルディさま~!キャー!なんてロマンティックぅ~
ドラゴンの心臓からは真っ赤な血が溢れ出し、そこには見たこともないほど美しいバラが咲き乱れていたとさ・・・というのがカタルーニャ地方に伝わる伝説です。
それ以来、カタルーニャの人々は、毎年4月23日には男性から女性に赤いバラを贈って祝うようになりました。
そして今もこの習慣は継承されています。しっかりと。バルセロナから日本に観光に来ていた人たちに聞きましたので、間違いありません。
「オラたちは、バラと本をきちんとやっどー(贈るぞ~)」
と言っていました。
では、なぜ本を贈るのでしょうか。
この日は小説『ドン・キホーテ』を書いたスペインの文豪ミゲル・セルバンデスや、『ロミオとジュリエット』などを書いた著名なウィリアム・シェイクスピアの命日でもあることから、文学と縁の深い日ということで、本を贈る風習が広まりました。ユネスコでは、この日を「世界本の日」と制定し、本の良さを再認識し、読書活動を推進する日、並びに本とその著者たちに敬意を表する日としています。
ユネスコが「本の日」と制定していることから、日本でも本の業界においてはイベントを行うところもあるようです。
血は赤バラ、同じ「チ」でも、知は本によって象徴されているというワケですね^ ^;
しかし、花の業界では赤バラの需要が上がるわけでもありません。このイベントに関する需要を感じることはほとんどありませんし。サン・ジョルディの日を理由に花を販売しているところも見たことがありません。それでも尚、花業界で働く者としては一応は知っておきたい花贈りの一つです。
スペイン、とりわけカタルーニャという一つの地方の文化に過ぎませんが、花を通して異文化を理解し、受け入れることもグローバルな時代に生きる社会人としては必要なことではないかと思うのです。