花研コーヒーブレイク
チューリップの香り分析
2015.02.09
チューリップが大田市場の中央通路やショーケースを華やかに飾っています。ラナンキュラスやスイートピーもそうですが、春の花は色彩が鮮やかで、明るい雰囲気に包まれますね。
さて、チューリップの香りについて。チューリップは品種によってしっかりとした強香を持つものとそうでないものがあり、あまり香りを楽しむ花というイメージはありませんが、鼻を近づけると、やはり香りがあることに気付きます。
花き研究の国内最高峰機関である農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)花き研究所より「花き研究所ニュース」という、A4サイズ12ページほどで構成されたニューズレターが発行されています。その2014年12月15日号に花き研究所の大久保直美先生が研究されたチューリップの香りの分類結果が記されています。
大久保先生の調査によると、チューリップの香りは以下の9種類に分類されます。(『花き研究所ニュース』No.27 2014.12.15のP.5より抜粋)
1. アニス・・・甘さとスパイシー感のある外国のお菓子のような香り。具体的な品種はアップスター、テンダービューティなど
2. ウッディ・・・木質系の香り。イルデフランスなど。
3. グリーン・・・青臭い香り。五郎丸、アンジェリケ、プリティウーマンなど。
4. シトラス・・・柑橘系の香り。バルバドス、レディマーゴットなど。
5. スパイシー・・薬のようなスパイス様の香り。黄小町、カプリ、ストロングゴールド、メリーウィドー、春のひまつり、初桜など。
6. ハーバル・・・ハーブのような香り。恋茜、オレンジブーケなど。
7. ハーバル・ハニー・・・ハーブ様からハチミツ様の香りに変化。モンテカルロ、モンセラなど。
8. フルーティ・・・ベリーやリンゴなどフルーツの香り。紅輝、デザイナーなど。
9. ローズィ・・・バラ様の香り。ダイアナ、モントルーなど。
また、スパイシーに分類されたチューリップの主要な香気成分には鎮静効果があるとされ、‘黄小町’、‘カプリ’などに多く含まれているそうです。
これからチューリップの楽しみ方が一つ増えましたね。是非、みなさまもチューリップを楽しまれる際は鼻を近付けてみてください。
ちなみに、スパイシーな香りの‘メリーウィドー’とは“未亡人のメリーさん”という意味。これに反応して、花研のK所長が若干興奮気味なその品種はこちら。