OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

学名の話

2015.01.26

1月23日(金)18時30分より「植物を語ろう関東新年会2015」がNHK青山荘(表参道)にて開催されました。「植物」をキーワードに集まった170-180人。流通がメインの当社にとっては既知の方は非常に少なく、殆どが初めてご挨拶させていただく方。著名な方もたくさん参加されています。各種宣伝・販売が自由なので、業界方々に自社商品をご紹介したいときも気兼ねなく参加できます。

その会の前哨戦として、16時から「学名を読み解く」セミナーがあり出席させていただきました。講師は元都立高校の英語教諭・田中学先生。90分のセミナーでしたが、残り15分のところで「スライドがあと100枚あるんです」・・・と。会場一同思わず笑ってしまいましたが、日ごろは何回かに分けて講義をする内容を、90分1ラウンドで行おうということだったらしいので、そうなるのも納得です。

田中先生はココ大田市場からほど近い大田区大森ご出身だそう。恩師に英語を学ぶならラテン語(とギリシャ語)を徹底的にやりなさいと言われ、お若い頃からラテン語で原書をたくさん読破されたそうです。聞けば、戦後色々不自由があった中でも環境を言い訳にせず熱心に学問に取り組まれたとかで、のほほんとしてきてしまった自分が今更ながら恥ずかしくなります。

植物はあとから独学で習得されたもののようですが、ご自身の脚を使って実物を観察された田中先生の知識は膨大な上に正確で、植物博士の方ですらも田中先生のところに教えを請いにいらっしゃるくらいなのだとか。

 

セミナーは今までにないアプローチで大変興味深い内容でした。ラテン語で名付けられているので学名にもジェンダー(性)があります。二名法が採用されているために、全て属名+小種名で構成されていますが、属名・小種名それぞれにジェンダーがあり、小種名は属名のジェンダーに必ず一致させるものなのだそうです。

属名でいえば、代表的な性語尾変化は以下の3つ。

-us(男性)

例:Dianthus(ダイアンサス), Ranaunculus(ラナンキュラス),Cimonanthus(チモナンサス、ロウバイ属)など

-a(女性)・・・植物の属名では女性格が圧倒的に多い。

例 :Camellia(カメリア), Magnolia(マグノリア), Primura(プリムラ), Viola(ビオラ), Rosa(バラ属)など

-um(中性)

例:Cymbidium(シンビディウム), Solanum(ナス属)など

また、(属名では)植物の形態に因んだ命名が53%、その読み解き方を伝授してくださいました。そのほか、人名に因んだものが17%、意味不明なものが9%あるというのも面白いですね。一方、小種名の命名は植物の形態が60%+、地名が20%+(sinensis, japonicus, asiaticsなど)、人名が14%という統計があります。ラテン語の文法や意味が理解できれば、学名を見ただけでその植物の形状がどういうものか、或いは世界のどこに自生し、どのような果実を付ける植物なのかがわかるというものでした。一例がイチゴノキ。学名をArbutus unedoといいます。unedoとは、unumedo=「1回食べれば十分」という意味からきているそうで、つまり「何度も食べる必要はない」→「実はおいしくない」ということが分かるのだと。

今まで学名な何か暗号のようなものにしか見えませんでしたが、これからは学名を見るのが楽しくなりそうです。

言語と植物はあまり接点のないものと感じていましたが、田中先生の大変興味深いアプローチには刺激を受けました。私たちは小学校の時から便宜的に教科を分けて学ぶものですが、学問というのは深く学べば学ぶほど根底ではほかの分野と繋がっていくものなのですね。

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