花研コーヒーブレイク
ヒーローの存在
2014.11.17
週末はライブで錦織選手とジョコビッチの試合(ATPワールドツアーファイナル)を見ていました。
見ているだけで力が入り、手に汗握る試合で、汗は出るし、爪は手のひらに食い込むしで、もう大変なので軍手のような綿の手袋をして観戦していました(笑)
第1セット、6-1でジョコビッチ。
ジョコビッチの元来の身体能力の高さが伝わってくるプレーでした。
“テニスじゃなくてもよかったけど、たまたまテニスやったら世界1位になっちゃった!”みたいな身体能力の高さを感じます。“運動神経が良いのは生まれつきでーす”と言わんばかりの。上下黒のウェアを着ていたテニスマンは、まるで心身ともに決して崩れることのない黒い鉄人にさえ見えました。こんな人に全米で勝った錦織選手ってドンダケ?・・・と思ったほど。
第2セット、6-3で錦織選手。本領発揮です。
これぞ錦織スタイルと見せつけんばかりのファインプレーの連続でした。
解説をしていた松岡修三さんが、「どの試合でもある重要な1ポイントで流れが大きく変わる所があります。どれも同じ1ポイントですが、今その流れを変える節目の1ポイントを迎えています」と解説しました。
このポイントを取った方がこのセット、あるいは試合のイニシアティブをとる、選手にもそれは分かっているはずだとおっしゃっていました。
結果、錦織選手がポイントを取り、松岡さんのおっしゃったとおりゲームは錦織選手に引き寄せられるように進んでいき、このセットは錦織選手が取りました。
この大会でジョコビッチはそれまで1セットも落としていません。これはよもや錦織選手、またまたやってくれるかと期待を抱いた瞬間でした。
第3セット、6-0でジョコビッチ。そして彼が決勝にコマを進めました。
第1ゲーム、ジョコビッチのサービスでしたが15-40で錦織選手がブレイクポイントを握りました。第2セットの快進撃の直後だったので、「こりゃもう錦織さんが勝つでしょう」とアタクシに安心感が生まれ、軍手を外した瞬間でもありました。
しかし、そのゲームは結局ジョコビッチが逆転でキープし、その後も錦織さんは本来の調子を取り戻すことなく、ジョコビッチがマッチポイントを握りました。
そして最後はあえなく錦織選手のダブルフォルトでゲームセットとなりました。
プレイヤーにとっては後味の悪い終わり方だったようで、勝者のジョコビッチがカメラの画面に書いたサインは「・」だけ。ゲームセットのコールでガッツポーズもありませんでした。ま、それは試合の中身のことなのでいいでしょう。
結果を見れば、錦織選手が日本人初(アジア人初でもある)のATPツアーファイナルに出場したことは快挙であることに変わりませんし、日本人にとっての新境地を拓いたと言っても過言ではないでしょう。
それまで、テニスといえばグランドスラムの4大大会は知っていても、トップ8が集結して行うツアーファイナルは初めて知ったという方も多いと思います。なにより、錦織選手の活躍で日本中が湧いています。企業さんによっては、錦織特需的に利益を出しているところもあるかもしれません。(セルビアでも同じ現象が起きているのでしょうか)
今後、日本でテニス人口は増えるかもしれません。テニス愛好家はさらに一生懸命コートに立つようになるでしょう。
業界を盛り上げるためには、ヒーローの存在が必要なのかもしれません。