花研コーヒーブレイク
個人的“傘の日”記念
2014.10.06
ある月曜日の朝、家を出る時曇天が気になり空を見上げたものの、会社に着けば傘はあるし、行きの時間帯だけ空が持ってくれれば大丈夫だろうと踏み、傘を持たずに出かけた。
浜松町で山手線を降りた時にホームが濡れていたので読みが外れたかと思ったが、いざモノレールに乗ってみれば、まだ天王洲アイルから先は地面が濡れておらず、「よしよし、これで何とかなる」。
Alas!
さっきまで降ってなかったじゃん(@_@。乾いた地面が一気に濃い色に染まっていく。
しかも結構雨粒が大きくて本気モード。
近くの駐輪場の屋根に避難してなんとか濡れずに会社に着く方法を吟味する。
相向かいの屋根では、同じ大田市場内にある外資系企業に勤務するI君が雨宿り。
どうするのかと思っていたら、意を決するように飛び出して行った。ま、いいよ彼は。運動神経良さそうだし、走れば5-6分で着くだろうて。
さて、アタシはどうするか。
といっても、まあこれしかない。
所長に電話。いつもアタシより幾分出社が遅い所長は、これからの時間帯のどこかでこの流通センターの駅前を車で通るはず。電話をして通りがけにピックアップしてもらおう。
Prrrrrrrrr・・・・とかけてもかけても出ないのが所長。運転中かも。ま、しゃーないな。
次の手を考えるか・・・と思ったところで、所長から着信。
聞いてみれば、こんな日に限ってもう会社に着いているのだとか。いつもながらタイミングが合わんな。
ということで、アタシも外資系のI君に遅ればせながら、意を決して駐輪場から出ることに。しかし、アタシは飛び出せない。むしろ、開き直って音楽を聴きながらモッチャリ歩く。あー、もう10メートル歩いたくらいで絶望的に濡れる。それでもモッチャリモッチャリ。
突然、雨が当たらなくなった。
あら??
見上げれば頭の上に雨を遮るものが・・・透明のビニール傘。
どなた?
すかさずイヤホンを取り外し振り返ってみると、60代前半かと思しき見知らぬ笑顔のジェントルマンが傘に入れてくださっている。
「結構濡れちゃうよ」
環七の先に見える大きな看板があるところにお勤めの方なのだとか。
きちんとスーツを着て、アタシの頭上に傘を伸ばしたばかりにお顔に水滴が付いてしまっている。
暫く歩いていると、きちんと折りたたみ傘を開いて大田花きの同僚Mちゃんが足早に抜かしていく。
アタシたちが知りあい同志で仕事の話をしているのかと思ったらしく、挨拶だけして素っ気なく過ぎ去ろうとする。
「初めてお会いした方なので、Mちゃんの傘に入れてもらってもええかな?ごめん」
ということで、ジェントルマンと道が分かれるところで、Mちゃんの傘に入れ替えさせてもらい事なきを得た・・・のはアタシだけで、傘に入れてくれたジェントルマンとMちゃんは幅のあるアタクシのせいで必要以上に濡れてしまった。
人の優しさが指先の毛細血管までじんわりと沁み渡った瞬間だったな。夏場は常に携行していた傘だが、ちょっと油断したことを反省。この日のことを教訓に、きちんと傘を携行するよう心がけよう。この日は自分の中で傘の日メモリアルとして、心に刻むことにする。
それにしても傘は持っていなかったけど、何かを持っている日だったな。
お優しい方がいらしたものだ。
今度お会いしたらきちんとお礼を言わなければ。