OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

植物の香りの機能

2009.06.16

いよいよ梅雨入りし、湿度の高い季節となった。
日本はよく四季折々といわれるが、この梅雨も一つの季節と考え五季する考え方もあるほど1年の中で特徴的な時季である。
よほどお気に入りの雨具でも持っていない限りは、あまり好きな人はいないのではないかと思われるシーズンだ。
気温が高い上に湿度も高いため、汗は蒸発せず体にまとわりつき、不快感や疲労感が増す。また、カビや細菌の繁殖が活発になり、私たちの健康の根源である食に関わる事故が起こりやすくなる。・・・あ、新型インフルエンザがパンデミックとして猛威を振るい、警戒水準がフェーズ6まで引き上げられた今、今年は恵みの梅雨なのかな。

さて、実は植物の香りにもカビや細菌の繁殖を防いだりする効果があるのはご存じの通りである。或いは、肉や魚が酸化して腐るのを防いだり、悪臭を消したり、蚊やダニの繁殖を防いだり、薬として作用したり、さまざまな機能を持っている。

例えば、桜餅に使われるサクラの葉やササ団子に使われるササの葉には抗菌性のある匂い成分が含まれる。おなじみの富山名物「鱒の寿司」♪を包んでいるササや、お寿司屋さんでにぎりの下に敷かれているササをすぐ思い浮かべる方も多いことであろう。

また、ハーブやスパイスには肉や魚が酸化するのを防ぐ香りが含まれているため、食品の酸化やカビの繁殖を抑える目的で、冷蔵庫などの設備が十分でなかった時代から腐敗するのを防ぐために使われてきた。トウガラシのカプサイシンやショウガのジンゲロール、クローブのオイゲノール、タイムのチモールなどの物質は抗菌活性の効能もあり、食品の腐敗防止に役立つ。東南アジアで香辛料が多用されているのは、この効果を期待してのことだろう。

香草を焚いて蚊を追い払ったり、精油を噴霧して害虫を追い払うことにも植物の香りは利用され、香りのあるセンティット・ゼラニウムなども虫除けとして玄関付近に植えている人も多い。
ゴキブリ(!)はハッカオイルやスペアミントオイルなどに含まれるメントールなどの成分を嫌うため、それらの天然精油で忌避することができる。それだけでなく、植物精油には悪臭やシックハウス症候群の原因であるホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物を除去する働きもあるといわれている。

更に身近なところでは、皆さんも 冬至の柚子湯や端午の節句の菖蒲湯など、香りの植物を入れる習慣は既に取り入れられていることだろう。
日ごろ注意して周りを見ていると、意外にも日々の食生活や居住空間に植物の香りの機能に着目したアイテムが深く根ざしていることに気づく。私は皮膚が弱いため、虫に刺されるとカモミールの精油を塗布する。抗菌作用のあるものは梅雨期の生活応援アイテムにもなる。エコブームの今、植物の香りの機能に注目して、生活に取り入れてみると案外快適で面白い。

(な)

(参考文献:『香りの百科事典』)

pagetop