花研コーヒーブレイク
八重のサクラで論理思考強化への道
2025.04.15
花研の一研究員です。
先日の小欄「スズラン開花への道」に続き、“道シリーズ”第2弾は「八重のサクラ満開への道」。
大田市場近くに東京流通センターがあります。東京モノレールの「流通センター」という駅名にもなっています。実はここ、桜が日本一多く植わっている物流会社とのことです。ホームページを拝見しますと、物中の中心地となるとともに、街づくりの夢があり、その一つとして構内で働く人たちやモノレールの利用者に季節感を届けたいという思いで、1972年に八重桜を中心に250本のサクラを植樹したのだとか。
なるほど、このサクラの名所は企業ポリシーから誕生したのですね。
場内のサクラは現在13種、200本以上にも及ぶそうです。品種を拝見しますとグリーン系の鬱金(ウコン)から濃いピンクの台湾緋桜まであります。都内で一大名所の一つといって過言ではないでしょう。
八重のサクラは一般的にソメイヨシノより少し遅く、少し前まではゴールデンウィーク前くらいに満開を迎える印象でしたが、最近は開花が若干早いのか、既に八重桜も満開に近づいてきました。そこで、サクラを堪能すべく自転車で一周してみました。
八重は八分咲き。
ホームページを見たのは自転車で一周してからのこと。場内に何本植栽されているのかと思い、カウントチャレンジしてみました。
途中まで数えていたのですが、徐々に途中でろれつが回らなくなってしまい、息継ぎもできなくなって苦しくなってきたので、推計することにしました。日本全国にある電柱の数を推計するのと同じ方法です。
日本の面積あたりの電柱のラフな本数から全体を推計するという方法でフェルミ推定というそうです。これをまねて流通センターのサクラの木の本数を数えます。フェルミ推定は、あるとき企業の入社試験にも出たそうで話題になったので、ご存じの方も多いと思います。
測定が難しい大規模なテーマについて、ある程度分かっている部分の数値から全体を推定するということですね。
日本の電柱の数を同方法で考えると、次の通り。
日本は38万平方キロメートル、確か森林が国土の2/3。ということは人がいるような地域は残り1/3の12.7万㎢。都市部と田園地帯におおまか分けられます。半分半分とすると、6万㎢と7万㎢とします。都市部が電柱は40m四方に1本ぐらいでしょうか、地方は倍の80m四方に1本くらいか・・・などと鉛筆をなめながら積み上げていくわけです。このように計算すると日本全国に4,800万本となりました。実際には3,600万本だそうです。桁数となんとなくの規模感はあっているので、まあまあの精度で算出できるかと思います。鉛筆をなめるところも、あとはトレーニングと経験値で研ぎ澄まされていくというわけです。
この方法で流通センターの中のサクラの木の数を推定します。
えーっと、まずは流通センターの面積は、ネットで探すと・・・しまった!AIがあっというまにサクラの数は200本以上300本ぐらいかなという回答を出してきたよ・・・。とほほ。
そうなんです。今やAIが答えまで出してくれる時代でした。フェルミ推定のトレーニングするまでもなかったな。
ちなみに、流通センターの面積は15万㎡。自転車でふらふらしたときにサクラとサクラの間隔がだいたい4mくらいだったので、300m×500mが縦横だとすると、周囲1,600mで4で割ると400本となりますかね。むむ、こういう推定方法もありました。
東京流通センターのサクラで規模の予測や論理思考のトレーニングをしようと思いましたが、世の中便利になりすぎて、そんな必要もないのかとトホホな経験をさせられた一幕でした。サクラを無心に愛でるのがいいですね。
↑こちらが最も場内で多いと思われた八重桜「関山(かんざん)」。比較的立ち性なのかしら、切り枝でも収穫しやすいかも。←すぐ切り枝にして市場出荷を考えるパターン(やはり無心になれない)
庭植えでかっこういいのはこっち、紅提灯(くれないちょうちん)↓
やや枝垂れた感じがとてもいいです。遠くから見るとしなった竿が重なったようです。こういうタイプは切り枝にすると、しなった枝を束ねる作業が難しそうです。←やはりどうしても切り枝出荷にたどり着く・・・悲しい性(さが)なのでございました。
それではみなさま、まだもう少し続きそうな桜シーズンをご堪能くださいませ。ごきげんよう。