花研コーヒーブレイク
ん?ちょっと待ッタ!? 学名はなぜラテン語なのか その②
2014.05.14
うーん、先週このコラムに「学名はなぜラテン語なのか」について書かせていただきました。
その理由は、
①ほぼ誰も口語としては使っていないことから、誰にとっても平等である
②ほぼ死語であることから、今後言葉の意味や用法が変わることがない
③消滅前には、カトリックや知識人たちの公用語であったことからアカデミックな言葉とみなされる(推測)
ところが週末、ふとある疑問が浮かびました。
ラテン語は誰も使わなくなったらから学名を付ける時に使われるようになったというが、では学名はいつ頃から付けられるようになったのか。ラテン語が使われなくなったのと、学名が付けられるようになったのと、どのような時制関係にあるのか。生物の分類はその前からあるのでは?どのくらい前?
ラテン語は1700年くらいまで使われていたとされるが、その時に学名を付けるのに使われていたとしたら、上記理由のうち①②は成り立たないではないか・・・と。「ほぼ死語だから使われる」なんて言っているわけですから、死語にならないうちに使われていたとしたら、その理由な成り立たなくなります。
wikipediaによると、動物の分類については古くはアリストテレス(B.C.384-A.D.322)など、あらゆる人が動物を中心に試みたようです。中世まではアリストテレスの分類が絶対とされていたと。
ラテン語は紀元前1,000年くらいから使われ始めたらしいので、アリストテレス時代はもちろんバリバリの現役言語。だからラテン語で動物の分類を行っていたことは当然だろうし・・・でも、著名な東大医学部の博士号の方が①の理由を著書に記していたし・・・うーん、わからない。
と、困った時の大博士U田先生。あ、イニシャルトークにする必要なかった!
宇田先生!に伺いました。
またもや明解即答as usual.
分類という学問を根付かせた(18世紀)のが「分類学の父」と呼ばれるスウェーデンの植物学者カール・フォン・リンネ(1707-1778年)です。彼は、学名を「属名」+「小種名」の二名法を採用し、分類学に大きく貢献するばかりでなく、植物学においても大きな功績を残しました。
彼の生年を見ると、ラテン語を誰も使っていなかった時代とは言い難いですね。ラテン語が使われなくなったのは1700年頃と言われますが、もちろん知識人の間ではまだまだ通じる時代です。
ですから、誰も使わない、誰にもわからないから、誰に対しても平等な言語・・・という仮説は崩れるわけです。
現に、ラテン語から派生した言語(フランス語、イタリア語、スペイン語など)を母語とする人たちには、その学名を読めば意味するところはなんとなくわかるわけです。誰にもわからないから平等な言語で・・・とするなら、遥か太古に消滅した、インド・ヨーロッパ祖語以外の言語を選んで然るべきなのです。
ということで、もう一度ここでなぜ学名はラテン語で付けられるのかということを整理すると、
①ラテン語は当時の欧州において、カトリック教会や知識人の共通語であったため
②学術論文に使われたりとアカデミックな言語であったため
ということになります。
前編改め、上記の通りとさせていただければと思います。
Tibi gratias ago, Dr. Uda! (ラテン語で「宇田先生、ありがとうございます」)
ちなみに宇田先生は、株式会社大阪鶴見フラワーセンター(大阪の花き市場の開設者)にて、これから1年間、福塚社長の右腕としてご尽力されるそうです。