OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

アガパンサス 新潮流現る

2024.10.29

こんにちは。花研の一研究員です。

ネットメディア、フローラルデイリーの記事より、「業界初アガパンサスのピンク登場」の記事

世界初なのですと。通常目にするアガパンサスは濃いブルーからムラサキが多くて、一部に白がありますね。

最近は流通量が減りましたが八重というのもあります。ピンクは確かに目にしたことがありません。実際にどのようなものかは記事をご覧いただければ幸いです。

 

さて、アガパンサスのような三大品目でもなければストックやヒマワリのように季節のメジャープレイヤーでもなく、比較的流通本数の少ないけれども、その時期には欠かせないプレイヤーについて、流通状況はどうなっているのかしら気になるとこ炉ではないでしょうか。花きの特徴として、そういうの、結構多いんですよね。

 

大田花きの取引データを統計処理したデータベース、ここほれわんわん(会員制ですがよろしければご利用ください)から一部ごご紹介いたします。

品種別、月別、旬別、出荷県別にもをデータ取れますが、今回はピンクのアガパンサス登場にちなみ、あえて色別にみてみたいと思います。

トップページの「色別実績」からお進みください。

切鉢の区別で「切花」を選び、大分類で「球根類」を選ぶと、比較的速やかにアガパンサスに辿り着きます。

アガパンサス実績

こんなふうに色別に数量や金額、単価を確認することができます。

確かにピンクはなく、本数は意外にも白が最も多いと出ています。しかしここが注意で、「その他」という何色にも分類されていない色があり、青か紫か判断しにくいものが多くここに含まれているのではないかと思います。それが約4万本ありますから、やはり紫青系が最も多いのではないかと思います。

 

さて、アガパンサスのようなシュッとしたステムに丸い花序が着く花で、且つピンクカラーというのは、意外にも切花ではそれほど多くはありません。

鉢物ではアリウムやサクラソウにそのような形がみられますが切花のサイズに至りません。ただし最近では、アリウムサマービューティーという夏咲きのピンク系に発色するアリウムがあります。こちらはガーデン用ですが茎の長さが30cmぐらいはとれるようなので切花でのご利用もあることでしょう。

 

冒頭で紹介した記事にはアガパンサスの写真があり、見た感じ草丈が60cmほどはありそうです。60cmとはスーパーなどの量販店売り場の商品サイズとしては必要なサイズでございまして、この長さ以上か以下か、どちらが可能かでマーケットでの汎用性が異なってくる分かれ道を示す長さでもあります。

 

とはいえ、もし初夏にアガパンサスのピンク、夏に同系色のアリウムというように、似たような形の商品でピンクが流通するとなると、ガーデンデザインにもフローラルデザインにも影響があることでしょう。なにしろ日本人はピンクが大好きです。日本に自生する植物の花の色は白ないし黄色が多くあります。農研機構のサイトに花の色についての記載があります。それによれば白と黄色がそれぞれ30%を占めるようです。次いでムラサキ系、赤系・・・つまりピンクというのは自然界では本来あまり見られないものです。しかしマーケットに流通する切花で最も多い色は濃淡を含めてですがピンクです。つまりそれは、品種改良と業界挙げてのマーケティングの成果なのです。

 

さてさて日本人の感性にそぐうピンク系の新商品、ナチュラルガーデンの流行で宿根草はまだまだ人気が続くでしょう。日本向けにとてもインパクトがある発表です。近い将来、日本のマーケットでもアガパンサスにお目にかかれることを楽しみにしています。

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それではみなさま、ごきげんよう。

 

フラワービジネスノート2025はこちら。

アガパンサスの切花流通期もご確認いただけます。

表紙2025

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