OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

袋キャベツに割り箸を突っ込んで食べる光景を見て気づくべきであった件

2024.09.05

こんにちは。花研の一研究員です。

 

9月4日のNHK総合「あさイチ」では「拝見!みんなの日常ごはん」と題し、生活者のリアルな平日夜のごはんに迫ったコーナーが企画されていました。

NHKプラスで後からキャッチアップしたのですが、大変興味深い内容でした。生活者がさまざまな事情を背景に、日頃どのような食事をどのようなスタイルで摂っているかを集めて紹介し、その内容に驚かされたり、共感したり、感心させられたり。

その事例紹介に基づいた食に対する意識の分析役や博報堂生活総合研究所の夏山明美さんがされていました。夏山さんは日本人の食生活を調査して30年という素晴らしい実績をお持ちの方で、花業界のイベントにもご登壇いただいたことがあります。

 

さて、そのコーナーによると、昨今の生活者の平日夜ごはんを若者のタイパ重視(食事よりも、資格試験の勉強や趣味に時間を使いたい)なのだそうで、そのために加工された完全栄養食を活用したり、レンチン食品を活用して、レンチン後はレンジのドアを開けてそこをテーブルとして立ったまま食べるなど、効率重視の価値観を持っている生活者が増えているのだそうです。

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さらには、パックご飯の容器をそのまま使ったり、フライパンから直接食べたりする人(こと)も増えたのだとか。器や盛り付けなどに気を使って食事の雰囲気を大切にしている人は減少傾向。(1998年28.0%→2022年15.4%)

一方で、火を使わない、包丁を使わない、洗い物を減らしたい、片付けの時間を減らしたいという生活者のニーズから、「調理済みの食品をよく使う方だ」という人は増加傾向なのだそうです(2022年34.3%)。

 

料理に対する価値観の変化は「料理をするのが好きだ」という人は減っているという数字にも表れていると。つまり現在は、料理は「作る」から「使う」へ変化しているといいます。その背景には、共働きの増加、急速な高齢化による介護で忙しいという現代社会の実情があり、調理済みのものを活用すればいいという考え方に変わってきているのだそうです。それは若い世代だけでなく、60代以上のリタイア世帯においても同様で、とりわけシニア世代においては食事に時間をかける人・かけない人、あるいはかけるとき・かけないときに二極化していると夏山さんは説明されていました。

 

いや、このコーナーを見て思わず膝を打ちましたよ。社会の変化を反映するように食のスタイルが変化しているのですから、花を楽しむニーズも変化しているに違いありません。現代社会の鏡ともいえる食生活がこのように変化している中、花業界からの提案ももっと現代のライフスタイルに適うように提案を変えていかなくてはいけません。少なくとも花の管理は手間がかかるものという印象を払拭していく、あるいは手間をかけたい人・かけたくない人、かけるとき・かけないときとシーンやケースを分けて提案する必要があるのではないでしょうか。

 

食器を洗う手間を省く人が花瓶を洗うでしょうか。食事をテーブルまで運ばないお宅の食卓に、花が飾られることなどあるでしょうか。となると、花も包装資材のまま飾れる商品の開発提案や(すでに一部ギフトで提案されていますが、日常の花としても提案が求められているのかも??)、私たちが想定するよりもっと別の場所に飾る提案が潜在的に求められているのかもしれません。

 

実は最近、某社の食堂で、コンビニで売っている袋入りの千切りキャベツに直接割り箸を突っ込んで食べている20代女性を見かけました。最初はちょっとしたカルチャーショックでしたがww、今となっては全くスタンダードなスタイルなのだと得心がいきました。包装容器をそのまま食器にする、洗い物が出ないように包装容器から別のお皿に置き換えることなくそのまま食すなんてことはタイパの極み。みんなそうしているものなのだと得心がいきました。洗い物をする手間も時間も水も洗剤も、共同で流しを使う気遣い分も節約できるということです。確かにナ。

いやはや、袋キャベツを食べているシーンを見て、花の提案を変える必要性にもさっさと気付くべきでした。

気付きの多いあさイチコーナーでした。

 

それではみなさま、ごきげんよう。

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