花研コーヒーブレイク
名前が強烈すぎるアニゴザントス
2024.08.12
こんにちは。みんなの花研ひろばです。
アニゴザントスといわれると何の植物かわからない方も多いと思いますが、「カンガルーポーのことですよ」と聞けば、一気にその植物の姿が頭に浮かぶのではないでしょうか。切花でも鉢物でも、また輸入品も国産品も流通していて、ユニークな花ではありますが最近では決して珍しいわけでもありません。
大田市場の北側に植栽されていたカンガルーポー↓
以前も小欄でご紹介したことがあったかと存じますが、アニゴザントスとはカンガルーポーの属名。ハエモドルム科(Haemodorum)アニゴザントス属(Anigozanthos)の植物です。
このハエモドルムとか普通にいったらなかなか覚えられなそうな科名ですが、「ハエ戻る・㋰」くらいにイメージしたら、なんとなく明日には覚えられそうな気がします。
その通り、ハエらしき虫がついていました。
確かに私たちには馴染みのないカタカナの羅列ではありますが、ハエモドルム(haemodorum)にはもちろん意味があります。ギリシャ語のhem+dōronに由来し、「血+贈り物」という意味なんだそうです。haem-というのがギリシャ語で「血のように赤い」という意味なのだそうで、なるほどhaem-で思い出しましたが、ハエマンサスもhaem-で始まると思ったら、「血の花」を意味するのだそうです。確かに花は赤いな。
ハエモドルムは根っこが赤いからのようですが、そういえば実際のカンガルーポーの根を見たことがないなー。ハエモドルム科はタスマニア島やニューギニア島を含むオーストラリア南西部、北部、東部が原産地で、とりわけ先住民によって一部の種の種の根は頭痛や皮膚疾患などの薬草として使われているのだとか。根が赤いことから「ブラッドルート」と呼ばれることもあると。
さて、属名のアニゴザンサス(Anigozanthos)、この強烈な響きの属名(アタクシたちにとってはですが)についてですが、 ギリシャ語で「不均等」を意味する”Aninese”と、「花」を意味する”anthos”に由来するそうです。つまり「不均等な形の花」という意味ですね。確かび「調和」の意味から名付けられたコスモスなどの花の形から比べれば、極めバランスをとりにくそうで不均等な花といえなくもないですね。アニゴザントスは西オーストラリア州の花の紋章にもなっているのだそうです。
このインパクトが強すぎる響きの名前を考えれば、「カンガルーポー」とはなかなか言い得て妙で、マーケティング的にも良い命名といえるのではないでしょうか。流通名がもし最初からアニゴザントスだったとしたら、この植物の運命は違っていたかもしれません。
しかし、カンガルーポーが定着した今、ここをあえて「アニゴザントス」を前面に出して、「アニゴザントス 入荷しました」とあれば、ワニか恐竜の手足か、見たことのない何かが入荷したのかと、人々の興味をそそるかもしれません。
最近はパープルやシルバー、ブルー系品種も切鉢ともに流通しているようで、仲卸さんで販売しているシーンを見かけるとツツツーと吸い込まれるように足が向いてしまいます。
こういうズームの写真て花き関係ではない人が見たら、すぐには何かを認識できず、意外と不気味だったりするかも??
見た目の名前もインパクトの強いカンガルーポーのご紹介でした。
それではみなさま、ごきげんよう。