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アルストロメリア品種名の複雑さ

2024.07.24

こんにちは。花研の一研究員、及び花研ブロガー2号です。

 

ある業務遂行のため、アルストロメリアの全品種名をアルファベット表記に変換する機会がありました。日本ではカタカナ表記で流通しますが、外来語とはいえ果たしてこれをアルファベットで表記したらどうなるのか。一つ一つ検証しながら置き換えていきます。

結論から言うとこんな感じです。

 

★日本語名 問題なし

★英語名 問題なし

★日本語でも英語でもない外国語 ほぼ問題なし

★有名人の名前や地名 Mr.Googleに尋ねればほぼ問題なし

★日本ではよく知られていない人名 Mr.Google次第。何とか問題なし

★不明 困るなー

 

ちなみにアルストロメリアの品種は、1年間で300種以上流通します。

★和名

「きなこ」とか「桃ちゃん」「雅」「富士」など和名はそのままローマ字置き換えでよしとしても、和名の品種はほんの一部。300種のうち10品種もありません。

 

★英語名

馴染みのある英語も問題なく変換できます。アルストロメリアの品種群としては最も多くて130くらい。「アイスクリーム」とか「スカッシュ」「エクストリーム」「レモン」などのように多くはストレスなく変換できます。「タキシード」など、一瞬どう書くんだっけ~と手が止まりますが調べれば問題なし。

 

★英語でも日本語名でもない外国語名

日本語、英語以外の名前が付けられたものがありますが、これも今はインターネットを使えば比較的速やかに変換可能です。「ピーシェ」「モヒート」「マーマレード」など25品種くらい。

 

★有名人の名前や地名

よく知られた地名や人名などの固有名詞、しかも知名度のあるものであれば、多いけれども(50くらい)調べればインターネットヒットするので問題なしです。

「ドバイ」「シベリア」「リスボン」「ヘルシンキ」などでしたら変換に手を焼くことはありません。ミコノス島の「ミコノス」とかどういうスペルかと検索すると、スペルと一緒に出てくるその景色に魅了されて、先に進めなくなります💦オランダの国際花博が開催された場所「フェンロー」という品種名もあり、開催にちなんで付けられたのかと想像が巡ります。また「サッチャー」「オードリー」「タランティーノ」など偉大なる人たちのお名前を借りた命名も見受けられます。なかには種苗会社、あるいは命名者がサッカー好きなのか、「ジーコ」とかどこかのサッカーの強豪チーム名が付けれたものも。

 

★日本ではよく知られていない人名

いずれも、「よく知られた」がポイントで、日本国内ではよく知られていない、あるいは私どもの勉強不足で知らない人物だったりすると、若干手を焼きます。とはいえ、歴史上の人物だったりすれば、ネットで調べれば辛うじて出てくるので、アルファベット表記を確認することができます。よく知られていないけれども何とか調べればヒットするのが25品種くらい。例えば、ウイルヘルミナ、ウィレムとだけあるとなかなか何のことかわかりませんが、調べてみるとウイルヘルミナは1880年から 1962年まで在位されたオランダ女王、ウィレムはオラニエ公と呼ばれたオランダ独立国家の事実上の初代君主であることがわかります。もちろん同時にスペルもチェックできます。オレンジ公ウィリアムと学校の授業では教わりましたが、彼のことか!と思えば、ウィレムという名前も繋がってきます。

 

★不明

ところがですよ、問題は上記のいずれでもない「不明」の品種があり、どうアルファベットに置換すればいいのか頭を悩ませます。

例えば「ビビ」という品種名はさてどうなんでしょうか。種苗会社のカタログにも英名では表記なく、どの国の種苗会社が開発したものなのかもわからず、はたしてviviなのかbibiなのか、ひょっとすると「ビビッときた!」のことなのか、判断がつきません。「リノ」もその類です。サイを表す「Rhino」をしていいのか、シンプルにlinoなのか。Rhinoだったらライノになるかなー、でも日本のマーケットに対してはリノの方がいいと思ってリノにしたのかなとか、まあ余計な想像をぐるぐる巡らせるわけです。

そのような「不明」に分類される品種が25品種くらい。つまり全体の1割に満たないくらいではありますが、これがまたてこずらせるわけです。はて、「ウィンターフェル」、どう捉えますか。「ウィンター+フェル」で何となく区切りますが、しっくりきません。winterfallと間違えたのか説も持ち上がったくらいですが、こっちじゃない?と教えてくれたMr.Googleの案は「ウィン+ターフェル」。なるほどWin Tafel、「勝利の食卓」という意味だそうです。ウィンターフェルという競走馬もいるのだとか。

 

言葉のどこで切れるのかというのは、カタカナ一緒くたになるとわからないものです。

日本語でも区切れが紛らわしいときがあります。清少納言。なんとなく、「せいしょう+なごん」と頭の中で区切って読んでしまいがちですが、実は「せい+しょうなごん」ですね。ドン・キホーテも「ドン・キホーテ」かと思います。

 

最後は随分と脱線してしまいましたが、海外で開発される品種名の奥深さをお伝えしたつもりでした。

 

それではみなさま、ごきげんよう。

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