花研コーヒーブレイク
シックなストック
2024.02.16
こんにちは。みんなの花研ひろばです。
「一月往ぬる、二月逃げる、三月去る」とこの時期が過ぎていく早さを喩えて言われますが、いまなら「3月はもうすぐ」。
3月に入るとぐっと入荷本数が増える品目の一つがストックです。
「ぐっと」ってどんな感じかというと、こんな感じ↓(2022-2023年大田花き実績)
「ぐっと」ですよね。
ストックは流通期と相まって春らしいパステルカラーが多いのが特徴ですが、昨年フラワー・オブ・ザ・イヤーOTA2023を受賞したストック「ヴィンテージブラウン」は、赤ワインのようなアンティークカラーをしたスタンダード(一本立ち)タイプの品種。
垢ぬけ感がありおしゃれなカラーと評価され、ギフトや装飾の挿し色としても多用されています。
また、先月開かれた第72回関東東海花の展覧会で一般切花部門最高賞の農林水産大臣賞金賞を受賞されたのはストック「シャンテブラウン」。こちらもまた赤ワイン色ですが、スプレータイプの品種です。ヴィンテージブラウン、シャンテブラウンともに、おそらく今までのイメージを変えるようなシックなカラーが評価されているのではないでしょうか。
左:ヴィンテージブラウン 右:シャンテブラウン
そういえば、ストックは様々な色展開があるせいか、まだ染め品種は流通していないように思います。
染めてみたらどんな感じになるのかと思い、興味半分でストックを染色液で染めてみました。
ファミリーマリンという薄紫色の品種をたまたま手元にあった黒の染液で染めてみました。
24℃で2時間ほど経過すると、花弁の脈に沿ってうっすらと黒い線が見えてきました。花穂の先の個体から、また内側の花弁から染まり始めました。
染色開始から約18時間後。花脈がさらにはっきりした黒色に染まりました。最初のパステルカラーの優しい雰囲気から少しシックな(ホラーな?)雰囲気に近づいたでしょうか。ただし、染まるまでに時間がかかることと染まり方にムラがあるため、きれいに染めるには時間や温度、染色液の量、花の鮮度などいろいろと検討する必要がありそうです。
染めなくてもよく売れていると思いますのでなかなか染めようと思う方はいらっしゃらないかもしれませんが、染めるとまたストック感が薄れ、新たな花のようにも見えます。染め色や染めるタイミングによってアートな印象もありそうなので、用途はさらに広がるかもしれません。
それではみなさまごきげんよう。