花研コーヒーブレイク
サーキュラーエコノミー
2023.12.22
こんにちは。みんなの花研ひろばです。
先日この欄でご紹介した本は、「肥料争奪戦の時代」というリンにまつわる歴史(争奪というよりむしろ「略奪」といっていい)と進行中の環境問題、社会問題を取り上げた内容です。
その壮絶な歴史があるのですが、この本の後半は北米で現在進行形の環境問題の内容です。河川に流れ込んだリンが湖や海洋までも富栄養化し、藻類による環境問題が深刻だといいます。
解決方法としての考え方はサーキュラーエコノミーです。回収して再利用するということです。その説明にはかつて日本でも行われていた下肥の利用についても紹介されていました。江戸時代の日本では下肥が貴重だったのです。江戸の町に野菜を運んで帰りに下肥を持ち帰り、肥料として利用していました。
そのため、江戸は人口が大変多い町でしたが河川は綺麗なまま。北米の河川に流出する富栄養化の基は、肥料の流出もありますが、畜産由来のものだそうです。規制が緩く、また抜け道があるのです。本日の日本農業新聞にありましたが、汚泥からリンを回収して肥料にしましょうと。
下水にふくまれるリンの再利用ですね。これを北米でやろうにも大規模な浄水施設が必要なのですぐには難しいようですが、動物のフンからメタンを取り出し、エネルギーとして利用しようという動きが盛んだそうです。たくさん動物を飼っていて、大量のフンが出るのでメタン発酵させてそのガスを商業的に利用することが可能なぐらいの規模らしいです。なーるほど。
そういえば、自動車のスズキの社長のコメントが日経新聞にあったのですが、インドではウシちゃんのフンからメタンを集めたら車のエネルギーのかなりの部分を賄えるので、電気ばかりという考えにこりかたまらないほうがいいと。形は違いますが、これぞ循環型社会(サーキュラーエコノミー)。技術的な違いはありますが江戸時代はすごかったと思います。
花もサーキュラーを目指すなら、ライフサイクル全体で考えないといけないかもそれません。「もったいない」経済はそんなに甘くないぞ、そんな感じでSDGsも進化していくことでしょう。
それではみなさま、ごきげんよう。