花研コーヒーブレイク
水は切れるか、花は上がるか
2023.11.29
こんにちは。みんなの花研ひろばです。
研究を深め、ますます業界の発展に寄与される花き業界コアに位置する大先生たちがいらっしゃる一方で、難しいことはさておき、花のある楽しい生活を送りたいという生活者。もちろん業界の立役者はほかにも多くいらっしゃいますが、例えばこのようにそれぞれの立場の方がいらっしゃり、花き業界が構成されているわけです。
花研では、このようななかなか混じりにくいお立場にいらっしゃるみなさまの境界線に立って、つまりそれぞれの世界の際に立って、お互いをつなぐことをモットーに仕事をしています・・・しているつもりです。できるだけ、ですが。
例えば、生活者に専門用語を並べることなく花のことを詳しく、楽しくお伝えすることが絶対条件になりますので、難しい内容であってもわかりやすく、できるだけ日常用語でお伝えすることを心掛けています。また、花き流通の研究のコアな世界には、生活者のニーズやトレンドをわかりやすくフィードバックすることでお互いの際に立つ意味が生まれると思っています。
さて、ある園芸の先生がおっしゃっていましたが、生徒さんに、
「水をできるだけ切って栽培する」
とお伝えしたところ、
「先生、水ってどうやってきればいいんですか?」
という質問があったそうです。
つまり、水をハサミなどで切る行為ができるのか、液体をどう切ればいいのか、というのがその質問の真意だったそうで、百戦錬磨の先生もさすがにその質問には絶句したそうです。「ストック(在庫)を切らす」「お醤油が切れちゃったから買ってきて」などと日常用語でも言ったりしますから、私たちとしては水を切るというのは専門用語というよりも一般用語に近いという感覚です。
一方、昨日のことですが、お打合せで花き業界が専門ではない編集関係の方に、
「(この株元から)どんどん花が上がるってきますので・・・」
とお伝えしたところ、
「花があがる???」
と語尾上がりでリピート。花が咲くはさておき、花が上がってくるという表現が分からなかったようです(すみません)。こりゃいかんと思って、慌てて「花芽が上がってくる」と言い換えましたが、これまた
「花芽?」
「上がる?」
と語尾上がりでリピート。思い直し、
「株元からツボミが付いた芽というか茎が出てくる」
と言い換えましたが、やはりこれまた業界的には少し違和感のある表現ではあります。この度はあらゆる言葉を尽くし、補足に補足を重ね、ご理解いただけるところまでたどり着いたと思います。
ただ、認識の相違が自分なりにショックで、花き業界従事者ではない人に、「花が上がる」「花が次から次へと上がってくる」という意味が伝わるか聞いてみますと、
「わからない」と。
んだかー・・・。
ここでまた自分の至らなさに、さらにショックを受けることになるわけです。
業界に長く身を置くと、両者が活躍する世界の“際に立って”橋渡しをする感覚が失われてしまうことがあるように思います。昨日はそれを痛感し、猛省した1日でございました。Stand in betweenとでも言いましょうか、あっちとこっちの水が異なる間に立って、目立たないようにフラットに両者をつないでいく感覚とスピリットを忘れることのないよう、これからも精進してまいりたいと思います。
それではみなさま、ごきげんよう。
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