花研コーヒーブレイク
ジャパンフラワーセレクション候補品目から見えるトレンド動向
2023.10.24
こんにちは。みんなの花研ひろばです。
ジャパンフラワーセレクションのエントリー品目が先週から大田市場に展示され、切花審査会が開催されました。
夏秋期の天候不順のせいでしょうか、出品数は少なめだったものの、ホームユースに向けた提案が種苗供給サイドから明確にあったので、業界全体が変わってきたという実感を得ました。コロナ禍に入った2020年頃から、花き需要の中心はホームユースへ大きく移動しました、その需要に対する供給は(品種そのものではなく)主に生産技術によるところや、商品加工などで行われていたのです。
ところが2023年を迎えた現在においてこのコンテストで実感するのは、ホームユースを意識した商品開発が育種を担う方々にも広く浸透したということです。出品されたものを拝見すれば一目瞭然、その結果が表れていたのが今回のポイントだろうと思います。
具体的にはバラとデルフィニウムで一品種ずつです。いずれも短茎品種でした。
バラについては、今年京成バラ園芸さまでも短茎品種がカタログに掲載されたりしていますが、この展示会で出品されていたのは個人育種家の方でした。
デルフィニウムはシネンシス系とエラータム系と、花のつき方でおおっく2つに分けられます。ざっくりとした表現ですみませんが、シネンシス系はカスミソウのようにふんわりと広がりスプレー状に咲くタイプ、エラータム系は一本の周りにぎっしり花が付き、まっすぐ大きく伸びるタイプです。従来は業務需要用に大きく大きく花がたくさんびっしりつきやすいように改良されてきたと思います。そのエラータム系で60cmサイズに明らかに家庭用を意識した小型品種が出品されているのです。
ちょっと驚きです。というか、かなり驚きました。サイズでこの直線的フォルムであれば、他の花材などとの相性、サイズ的にも一般的な日本の家屋に飾りやすいでしょう。さらに淡いブルーでこの形、このサイズの切花はほかになかなか代替品がありませんから、ニーズを独占できるように思います。暫くはブルーオーシャンでしょう。お店にあっても目を引くでしょうし、きっと誰でも部屋に飾りたくなりますよ。
コロナ禍をきっかけにホームユースとして川下から発せられたニーズが川上に順調に遡上している印象です。しかも、潜在的なところも汲み取って提案されているところをみると、やはり日本の種苗開発力の高さを感じずにはいられません。
ということで今回は、ホームユースを意識した商品が出品された興味深いコンテストを紹介しました。
また、手前みそですが大田花きでは毎年トレンドを反映したフラワーオブザイヤーOTAの表彰を12月に行っております。
こちらは大田花きに流通している商品データからトレンドを独自の手法で抽出し、とりわけ評価が高いものを顕彰し花きトレンドを世に知らしめる制度です。自主エントリー制ではなく、大田花きにご出荷されたすべての生産者さま、すべての品種は自動エントリーになります。
そのフラワーオブザイヤーOTAは今年で19回目を迎えます。表彰式は12月8日(金)大田花きセリ場にて、運営は当社大田花き花の生活研究所です。リリースも行いますのでどうぞご注目ください。
フラワーオブザイヤーOTA2022の結果発表と潮流分析は『フラワービジネスノート2024』でも紹介されています。
それではみなさまごきげんよう。