OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

キウイフルーツのツルについて

2023.11.08

こんにちは。みんなの花研ひろばです。

昨年、1mくらいのキウイフルーツのツルを11月に購入しました。太さは鉛筆より少し細いくらいです。太くて使いにくいと思われるかもしれれませんが、いやそれがとてもしなやかで、丸く束ねやすいのです。リース土台には無論のこと、複雑なロープ結びなどもできますので、キウイのツルでエビとか作ってみましたよ。柔軟性を兼ね備え、何でもできてしまうので創造性を刺激するとてもいい素材だと思いました。

 

しかしこのような細くて柔軟性を兼ね備えたキウイのツルが11月どれぐらい流通しているかといえば、とんでもなく潤沢・・・というほどでもないのです。

なぜでしょうか。青果物の公式統計データである農林水産省令和4年産キウイフルーツ面積を調べてみました。

 

キウイフルーツの統計データ

 

資料には生産は減少中だと書いてありますが、なんと国内には1,860haも生産面積があります。ちなみに花きは全体で25,000haですから、キウイだけで2,000ha近いとなれば、どれだけすごい面積かなんとなく想像できるかもしれません。

 

ここから仮にキウイのツル供給を期待すれば、かなり潤沢なはず。では、逆に潜在需要はどうでしょうか。

そもそもキウイのツルを使った作るリースのマーケットがわからないと、なんとも言えないところがありますが、実は全くわからないので勝手に推計してみることにします。

 

iタウンページで生花店を検索すると約25,000件がヒットします。ダブって登録しているお見えもあると思いますので、実数ではないものの、数字を大きめにしたいのであえてこのまま使うことにします。

 

各店舗20個のリースを作るとしましょう。一つのリースを作るには1mは必要です。すると、25,000店×20個×1m=50万m、つまり総長500kmのツルが必要となります。実際にはリースの土台としてすでに輪っかにした既成商品やドライフルーツドライフラワーがすでにつけられた完成した状態で輸入されるリースも多数流通しているので、ツルから一から編んでリース土台をつくる需要はもっともっと少ないだろうと見ます。

500kmの1/50~1/100ぐらいかもしれません。100分の1だったとしても尚、5kmもの需要があると計算できますから、キウイの剪定後のツルをリース作り素材として提供することには何か課題があるのかもしれないと思います。

 

キウイの剪定時期を調べると、落葉した後の1-2月の剪定が基本のようです。そうか、11月は早すぎるということです。なかなか花き業界が欲しい時期にリサイクルができるものではないとわかりました。特に生鮮品においては品質変化が起こりやすいのです。キウイフルーツのツルにおいてももちろん同様です。ツルを倉庫に入れておけば数カ月でかりかりになって、しなやかなツルの良さを失ってしまうでしょう。

 

 

しかし、11月にリース素材の需要があるのは確かですし、将来的にも大きく変わるニーズでもないでしょう。生産地で利用できそうな植物資材が生産地であれば、サーキュラーエコノミー(※)として活用できるように思います。キウイなど植物の剪定に関わる何らかの作業が秋口にあり、その結果一定量の植物が廃棄されます。

 

一方で、花き業界には11月にリース需要があります。ここにが何らかの形でマッチすれば、サプライチェーンがつながり、しかも環境負荷が低い取り組みを実現できることになります。さらには、キウイのツルのように数値で表せると、例えば地球〇〇周分のツルを再利用という環境負荷低減PRにも使えそうな気がします。

今年は10km分だったとして、4000年粘れば4万kmになって「地球一周分」(という例はあまり現実的ではありませんが)などと謳えます。廃棄されるものを新たにアップサイクルする場合は、そのストーリーや数値による効果や環境負荷低減を示せるといいのですね。そういう時代なのだと思いました。

 

※サーキュラーエコノミー

循環経済のこと。環境省の説明が図でわかりやすいのでこちらを

 

それではみなさま、ごきげんよう。

 

『フラワービジネスノート2024』はこちら。

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