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革命は起きたのか。バラ革命・カーネーション革命・キク革命・チューリップ革命

2023.11.10

こんにちは。みんなの花研ひろばです。

 

イングランドの「薔薇戦争」(1455-1485年)は歴史上よく知られたところですが、実は「バラ革命」(2003年)というのもあります。現在のジョージア(当時の呼称はグルジア)で起きた政権に関する無血の革命。なぜバラ革命と呼ばれるかというと、野党支持者が抗議活動の際バラを持って当時の大統領の議会開会演説を妨害し、大統領は逃亡を余儀なくされたからなのだとか。ご興味あれば詳細はインターネットで調べてください。

 

バラとくれば「カーネーション」。ではカーネーション革命という出来事が歴史上刻まれているかというと、ありました。1974年にポルトガルで起きたクーデター。長く続いた独裁体制に1974年4月25日のクーデーターによりほぼ無血で終止符が打たれたのだとか。リスボンの市中は革命の成功を祝うために花が飾られ、市民はカーネーションを手にして喜び、革命軍兵士たちは銃口にカーネーションの花を挿したそうです。このカーネーション革命以降、ポルトガルの民主化が始まりました。北アフリカを中心に起きた民主化運動はアラブの春と呼ばれますが、カーネーション革命はポルトガルの春だったわけですね。

では、なぜカーネーションだったのか。シンプルに考えればカーネーションの生産が盛んだったのではないかと思うところ。そこでAIPHのデータブックを見てみましたが、ポルトガルでカーネーションが作られているというデータはすぐには見つかりませんでした。しかし、お隣のスペインでは生産しているようですし、ポルトガルの気候はカーネーション生産に比較的合うでしょうから、生産しているのかもしれません。

 

バラ、カーネーションとくれば「キク」なのですが、いまのところ歴史上「キク革命」という出来事はざっとググったところは見当たりません。(もしあるようであれば、ご教示くださいますようお願い申し上げます。)

しかし「チューリップ革命」はあります。2005年にキルギス議会選挙の結果が紛争となり大統領が辞任した事件だそうで、お詳しい方には釈迦説ですみません。名前この革命をどう呼ぶかはほかにも候補があったようですが、結局キルギスを象徴するチューリップに落ち着いたとのこと。キルギスはチューリップの自生地ですから、親しみがあるのかもしれません。

 

さて、日本の花き業界ではいまなにか革命が起きているでしょうか。いくつか改革や革命に近い取り組みが思い当たるものの、ひとつに枝物革命が起きているといえるかもしれません。

2016年にフラワーオブザイヤーOTAでドウダンツツジが最優秀賞を受賞したころから(つまりその前から枝物の波は到来していたわけですが)、自宅用に自然を感じられる枝物、しかもその前まではあまり自宅用に使われなかったであろう比較的大きめの枝物が、季節感を感じさせるインテリアとして定着するようになりました。実際に花業界ではない友人のお宅にお邪魔してもドウダンツツジだけ飾られていたり、インテリア雑誌などでもその飾り方が紹介されていることが増えたころだったように思います。その波はスーパーマーケットの花売り場まで浸透し、ドウダンツツジだけの束が販売されているシーンを見かけたこともありました。ドウダンツツジが象徴的だったというだけで、もちろん人気の枝物は多岐にわたります。生産もそのニーズを満たすべく増えていきましたが、それにはやはり高齢化や働き方改革などの社会的背景があったからこそと思います。国内の生産量はキクが圧倒的な1位ですが、現在は枝物が2位になっていることがその一つの証左と言えるのではないでしょうか。

本年のフラワーオブザイヤーOTAもすべての賞の決勝戦(最終投票における多数決)に枝物が絡んできました。どなたの何が受賞するでしょうか。12月8日(金)の大田花きでの表彰式にぜひご注目いただけると幸いです。

 

最後におまけですが、現在の花き業界を後世の人たちは現在の花き業界をどう時代区分するのかと、長期的、且つ(できるだけ)客観的目線を意識しながら思いを巡らせることがあります。日本の古墳時代に生きていた人達は「俺たち古墳時代に生きているぜ!イエーイ!」とは思っておらず、あるいは戦国時代においても然り。歴史上、後になって付けられた時代区分と思えば、いまの花き業界は何時代なのかと。思い浮かぶものはありますが、また別の機会にみなさまと楽しくお話しさせていただければと思います。

 

 

 

それでは皆様、ごきげんよう。

フラワーオブザイヤーOTA2022の結果と分析はフラワービジネスノート2024に紹介されています)

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