花研コーヒーブレイク
キンモクセイ・パートⅡ★金曜日は金木犀のトピックで締め
2023.10.20
こんにちは。みんなの花研ひろばです。
都内でもキンモクセイの香りが漂っています。この夏は暑過ぎましたが、終わらない夏はない、“秋来ぬ”とキンモクセイの香りが知らせてくれて安心しました。
さて、そのキンモクセイの香りには個人的な感想ですが、“湿度”と“温度”を感じます。香りを察知したとたんに香りが充満している一帯だけ温度が高いような、あるいは秋の乾いた空気の中でも心地よい湿度を感じるのです。なぜなのでしょうか。きっと香気に含まれる成分が理由なのでしょうが、ヒントになりそうな情報が富山大学のホーページにありました。
このホームページのコラムよりますと、キンモクセイの香気成分はリナロール、リモネン(レモンの香り)、メントール、カンファー(クスノキの香り)の仲間などで、これらは昆虫を遠くから呼び寄せる軽めの香りなのだそうです。恐らく、香りが軽いため拡散されやすく、広範囲から虫を集めることができるのでしょう。
なるほど、あのキンモクセイの爽やかで温かみを持つ香りは、リナロールやメントール、カンファーによるのもかと自分なりに納得しました。カンファーというのは樟脳(クスノキから得られるもの)や墨に含まれている成分で、キクの香り成分でもあります。
それからリモネンはレモンのような柑橘系の香り成分です。11月になると雪冠杉(セッカンスギ)などの針葉樹素材が流通しますが、セッカンスギは本当にレモンの香りがかぐわしく、その時期の仲卸通りは寒いのですが清々しい気分になります。
このようにオレンジ色の小花で、香りも素晴らしい樹木ですが、潤沢に市場流通している品目ではありません。花の寿命が短いからでしょうか。実際にはどのくらいなのか、試したことはありませんが、切枝にしてしまうと輸送中に花がぽろぽろと落ちそうなイメージがあります。いずれにせよ、生花店でいつでも買えるものではないので、切枝の商品ととしては多いものではありません。
そこで、現在は街路樹やお庭のキンモクセイをさらってしまう「キンモクセイ誘拐事件」が多発しているのではないかと心配しています。車道の中央分離帯や街路樹、公園などの公共施設などあちこちの植栽にキンモクセイがが利用されていることから、ちょっとだけと剪定の気持ちで枝を切り取っていらっしゃるのかもしれませんが、本来はNGですね。気を付けましょう。(By 目撃者)
キンモクセイの取引状況については昨日の小欄からも見ていただけますが、今後は取引量が増えていきそうな伸びしろを感じます。
それではみなさま、ごきげんよう。
この週末、関東地方ではぐっと気温下がるとの予報です。ご自愛の上、良い週末をお過ごしくださいませ。