OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

ナンダーリャとヒガンバナ

2023.09.19

こんにちは。みんなの花研ひろばです。

彼岸入りの本日の花研コーヒーブレイクのタイトルは、ナンダーリャ。ガンダーラではありません。その仲間でもありません。

ナンダーリャ、もしくはナンダリャ。「なんだ、あれは」のある地域の言い方です。これくらいのアクセントであれば、文字にせずとも耳から聞くだけで一応意味は通じるかもしれません。

 

そのように、一つの事象やモノでも地域によって表現方法は千差万別。例えば、目のできもの、「ものもらい」と私は言いますが、同じ地域でも「めかご」という人もいました。そのほか「めっぱ」とか「めばちこ」と呼ぶ人に出会ったこともあります。日本全国各地域でユニークな呼称があり、国立国語研究所がまとめた『日本言語地図』を見ますと、700以上の呼称があるようです。

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どのように調査されてこのような言語地図が作成されるかといいますと、研究員が全国554地点のモニターに一つ一つの表現について何と呼ぶか聞くのです。それはそれは地味な作業だと思いますが、こういうのをよくまとめられてすばらしいと思います。

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さて、この本の中で取り上げられているものは150語。第1語めの「カマキリ」にはじまり、最後の150語めは「ではまた」で締めくくります。

その間にそのうち最初のブロックでは動植物が取り上げられているのですが、動植物章の最後が「ヒガンバナ」です。

 

皆さんの地域ではなんと呼びますか。ヒガンバナのほかに地域によっては盆花、死人花、幽霊花、キツネノカミソリ、蛇の花、曼殊沙華、葉見ず花見ず、墓花などがあり、どちらかというとちょっと怖い感じの呼称が多いかもしれませんね。地域によって呼称は様々ですが、ほかの事典を見ると一説に1,000以上の呼称があると紹介されています。以前は確かにそうだったかもしれませんが、言語地図の最新版を見ますと調査の結果によれば210-220くらいなのでしょうか。

 

ご存知の方も多いと思うので、釈迦説ですみませんが、赤く(白、クリーム系も今朝ちょうど見つけました)美しいヒガンバナなのに、ちょっと怖い系の名前が付けられているのは、お墓や田んぼの畦道などに植えられていたからのようです。なぜそのような場所に植えられていたかというと、その球根に毒があるために、モグラとかネズミなどによる獣害を防ぐためとよくいわれます。お墓周辺を荒らされないように、というのが一つ。

 

実は諸説あり、冷夏や病害虫などで稲が不作の時は、球根を毒抜きして非常食とされたという記録もあります。毒を抜いて製粉して食べるのだそうです。飢饉や戦争などで食料が不足した場合、緊急事態を凌ぐために食用として利用される植物を「救荒植物」といって、山野に自生する植物などが使われます。ヒガンバナも緊急時に備えて植えられていたという説もあります。この場合、お墓にはなかなか植えませんが、私の田舎では墓地よりも畦道ではよくみかけましたから、得心がいきます。

 

一方で、その妖艶なまでの赤色が放つ神秘的な印象もあり(特に西日があたったりするとねー)、曼殊沙華という別名もあります。サンスクリット語で「赤い花」とか「葉より先に咲く赤い花」を表す語が「曼珠沙華」の語源といわれます。 仏教でも天から降ってきた花の1つとされ、「天上の花」という意味も持ちます。

 

とはいえ、今年はヒガンバナが開花するのが遅いでしょうか。今朝、やっとクリーム色のヒガンバナを見かけましたが、その隣の赤いヒガンバナはまだツボミでした。うちのショチョさまは「見たよ」と言っていましたが、全体的にはやはり遅いように思います。この夏の暑さと雨の少なさが影響しているでしょうか。ヒガンバナの開花が待ち遠しい限りです。

 

こんなことをお話しするのに、ヒガンバナの写真がないと物足りないなと思いましたので、仕方なく手元にあったヒガンバナの絵柄の手ぬぐいをばしゃり。

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と思ったら、隣に座っていたショチョさまが突然

「わたしも持っていますよ」じゃじゃーん

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・・・と、ヒガンバナの手ぬぐいを無造作に広げ始めました。

なんという偶然。絵柄尚はじように思いますが、色目と花色のグラデーション加減が少し違いますね。

H3 H4

 

東京の清瀬でダイヤモンドリリーを生産される横山さんも持っていた、あの人もこの人も持っていたという話になり、どうやらヒガンバナの手ぬぐいを持っている率は花き業界では比較的高いのではないかという結論に。

 

ヒガンバナのお話は、9月17日放送FMヨコハマのSundayGoodVibes!でもお話しさせていただきました。SundayGoodVibes!は9月24日を以って最終回を迎えます。ハナラボのテーマは「人類有史以来の植物イチジク ~知られざる不思議植物~」。ぜひ最終回よろしければ聴いてみていただければと思います。尚、ハナラボは新番組でも継続の予定です。

 

それでは皆様ごきげんよう。

 

フラワービジネスノート2024はこちら。

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