花研コーヒーブレイク
【新】秋の七草
2023.08.09
こんにちは。みんなの花研ひろばです。
立秋(8月8日)を過ぎた8月9日、まだじりじりとした太陽の強さを感じ、なかなか秋の足音を感じることはないかもしれません。
しかし、大気は入れ替わろうとしているのを感じますし、花き市場はデパート並みのスピードで秋物を取り揃えています。いやー、この時期夏物を着てデパートに行くと、なんだか恥ずかしくなるくらいですから、デパートは早いですよ。
秋を語るのは早いと思われるかもしれませんが、もう秋の話をしないといけない時期なのでございます。飽きがこないように、秋がくる話。ふふ。
エッセイ集を読んでいたら佐藤春夫(大正昭和の文豪)の随筆の中に、日日新聞で「新七草」という企画があり、大変興味深いという内容が書かれていたとあります。
日日新聞はいまいうところの毎日新聞のことらしいです。選者と選者が選んだ秋の七草があり、一名一花というのでしょうか、そんな感じで七名と七種があったようです。つまり、山上憶良が言っていたオリジナル秋の七草ではなく、歌人それぞれに思う秋の七草です。佐藤春夫のエッセイの内容から七名七種(七人の文化人による秋の七草選)をご紹介したいと思います。
辻 永氏(つじひさし:洋画家):秋海棠(ベゴニアのこと)
長谷川 時雨氏(はせがわしぐれ:劇作家/小説家):雁来紅(がんらいこう、葉ゲイトウのこと)
菊池 寛氏(作家/ジャーナリスト)コスモス
斉藤茂吉氏(歌人):曼珠沙華(ヒガンバナのこと)
与謝野晶子氏(歌人):オシロイバナ
牧野富太郎氏(植物学者)キク(キク全般をさしているようです)
高浜虚子氏(歌人)赤のまんま(イヌタデ)
そして佐藤春夫自身は、七名七種もいいが一名七種もいいだろう、自選では次の7種を挙げています。
カラスウリ/ヒヨドリジョウゴ/アカマンマ/アカネ/ツリガネ/ノギク/ミズヒキ
カラスウリはいわずもがなカラスウリ、ヒヨドリジョウゴは山野に自生するナス科のつる植物。アカマンマはイヌタデのこと。アカネは彼岸花の別名、ツリガネはツリガネソウ(カンパニュラの仲間)のこと。野菊、そして水引草。
いずれも当時の有名人たちが、自分のセンスをご披露しているわけですね。「今年の七草」というのはだれが毎年やってもいい遊びだなと思いました。
それでは、わたくしボンソワール桐生も仲間に入れてもらい、今年の秋の七草選は以下の通り。
・コスモス
・ヘレニウム
・アマランサス
・紅葉実付ナツハゼ
・アメリカテマリシモツケ ディアボロ
・ムラサキシキブ
・染めのクエルカス
う~ん、枝物多め。
今は枝物が人気だから良しとしましょう。なるほど、こうして2023年今年の秋の七草、冬の七草と自分選をまとめておくと、トレンドが見えてくるということもあるかもしれません。楽しみながら市場流通の旬を線で捉える良いトレーニングになりますね。
それではみなさま、ごきげんよう。