OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

昭和かすみ草が花きでGI認証登録第二号!

2023.07.25

こんにちは。みんなの花研ひろばです。

地域ブランドを知的財産として保護する目的で、地理的表示保護制度があります。地理的表示をジオグラフィック・インフォメーションということから、通称GI認証といいます。例えば、夕張メロンがまさにGI認証で保護された名称です。北海道の夕張以外で作られたメロンにはこの名を使うことができませし、夕張産のメロンにしても夕張メロンというブランドの規格を踏まえた農産物だけが対象となります。夕張メロンが果物屋さんに並んでいればがっかりするようなことは決してないのです。

2015年6月にスタートした制度ですが、海外ではフランスのシャンパーニュ地方で生産される「シャンパン」が代表的な例と言えるでしょう。シャンパーニュ地方以外で作られる発泡酒はシャンパンとはいわないし、いえないのです。オランダのゴーダチーズとかもGI登録していたかな。ただ、例えば小松菜はもはやGI登録ができません。小松菜は江戸時代に小松川周辺で栽培されたことから徳川吉宗がこの名を付けたといわれますが、小松菜という名前が一般名として浸透しすぎて登録できないのではなかったでしたっけ。違うかもしれませんが、興味がございましたら調べてみてください。

drink_wine_champagne_stopper

 

さて、ここまでが前置きです。

花きにおいて国内登録第一号は鹿児島県の「えらぶゆり」です。沖永良部に自生するユリから育成された観賞用のユリ、同地域で育種、球根養成、生産まで一貫して行われているのが特徴です。

ご参考「えらぶゆり」登録の公示

 

そして、第二号が福島県の大沼郡昭和村を中心とした地域で生産されるカスミソウ「昭和かすみ草」です。

ご参考「昭和かすみ草」登録の公示

 

福島の気候風土を生かした生産品目であることが認められました。地域の様々な情報が多層化しています。Aという地域という地図上の座標に様々な情報がのり、重なることでその地域の価値が高まる現象が起きているのです。

 

「メタ観光」なるワードが登場しています。メタというのは「高次の」という意味だそうですが、メタ観光のメタとは「多層化した地域情報の集約」ということです。A地域を観光で訪れたグループが3組(X,Y,Z)があったとしたら、X組は歴史探訪、Y組は地域のグルメ、Z組はその地域がアニメの舞台として取り上げられた聖地巡礼などと、多様な消費を1つの観光ブランドで実現していくということです。歴史、グルメ、アニメなどを多層化した価値として捉え、観光で提案しますよということです。

 

GI認証もひとつメタ観光の階層となりえますし、地域の大切な資源ですね。花きの生産地振興には有効な手立てです。国内各地には、日本が世界に誇る腕利きの生産者がいらっしゃり、個性的な花を生産し、地域の土壌・気候などの特性を生かした生産体系を構築しているからです。令和の時代に昭和かすみ草、昭和ブームにあわせたうまい戦略かと思いました。

 

それではみなさま、ごきげんよう。

pagetop