OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

枝物の人気とコミュニケーション

2023.07.06

こんにちは。みんなの花研ひろばです。

先日の日曜日の昼下がり、都内にある大規模なガーデンセンターに行きました。

広い売り場にはあらゆる園芸植物が所狭しと並べてあり、屋内には観葉植物・洋ラン・熱帯魚などもありました。アリウム・サマービューティー狙いだったのですが、流石に遅すぎて売り切れていました。

 

打ちひしがれて店内ぶらぶらしていると切花の売り場もありしばらく眺めていました。

何より興味深いのが枝物です。季節柄、ドウダンツツジとスモークツリーを枝物のおすすめとして販売しています。ドウダンツツジは1m30-40cm、スモークツリーは1mぐらいのサイズです。一本ずつ販売しているのですがすべて値段が違うのです。考えれてみればば枝物は一つ一つが一点ものです、枝ぶりやボリュームが異なりますが、評価額が異なっていてもいいかもしれません。

 

10分ぐらいの間に3本ほどが売れていきました。これは相当なペースです。さらに、購入者は一本ずつ枝ぶりと値段を見比べながら、値踏みしている様子。実にじっくりと吟味し、時に店員さんに声をかけて自分の見立てを確認します。店員さんの見立てと一致すると購入に至るようです。

 

このようなやり取りに、生花店の対面販売の良さを感じました。購入する方はドウダンツツジを通して生花店の店員さんとコミュニケーションをとり、より満足感の高い買い物ができていると思います。そのお店では、より自然な感じの枝ぶりにより高い値段をつけ、まっすぐと伸びたドウダンツツジには前者よりも下回る値段を付けていました。まっすぐ伸びたようなドウダンでもこう飾れば風情が出る、細い枝は切って小さな花瓶に生けると無駄にならないなどと調理方法を説明する魚屋さんのようにも思いました。生花店さんにとっては対面販売の腕の見せ所です。

 

お部屋の中に枝物を飾ることは、屋内インテリアに自然の一部を切り取って持ち込むようなものです。コロナ禍以降、枝物需要が伸びていますが、リラックスするという心理的効果の側面と室内が洗練されておしゃれに見えるという効果があるでしょう。また、買いものの際には選ぶ楽しみ、コミュニケーションの楽しみ、知る楽しみがあります。あれこれ考えたり、家人に聞いたり店員さんにアドバイスをもらったり。枝物人気を押し上げる要素だと思います。魚屋さんに例えましたが、生活者にとっては家具選びにも似たものがあるのではないでしょうか。

 

最後に、枝物を買う様子を見ていた別のお子さんが欲しいと親御さんにねだると、「うちには大きな花瓶がありません」とぴしゃり。枝物は小さなお子さんの心をも引く魅力的な存在のようです。

 

それではみなさま、ごきげんよう。

 

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