花研コーヒーブレイク
地域消費振興と物流の密接な関係
2023.05.29
こんにちは。みんなの花研ひろばです。
先日、花きの往復物流について考える機会がありました。2024年の物流問題について大変切羽詰まった状況にあるといわれており、どのような物流体制を構築するのかということです。A産地で集荷しB地域にあるC市場に運べるのか、コストはどうか、時間は間に合うのかなどということです。
しかし、これでは話の焦点が片面になってしまっています。A産地は産地でもあると同時に消費地でもあります。日本全国の花き生産の分布をみると地域に偏りがあり、さらには年間でも見ても季節ごとに生産地は”移動”します。一方、消費を見れば人口の分布イコール購買力で、花きの消費量に直結してきますが、それもまた都道府県で差があります。A産地から出荷があり、その運送事業者の帰り便、もしくは別の運送事業者によってA産地が必要とする花きが供給されているとするなら、往復のつり合いということも考えなければなりません。
物流の非対称については、実は北海道での研究がとても進んでいます。北海道は日本一の農産物生産地域であり、また季節性も高いのですが、消費地としては東京のような莫大な消費圏が1か所に集中しているわけではなく、全道に分散しています。そこで物流には大変ご苦労されていて、道内で起きている物流の非対称性がこれから日本全体で起こりうると政府レポートなどでも知られているのです。東北などの人口過疎地域でも物流問題が多く発生するといわれているのもその例の一つと言えます。
そこで花き産業としては、できるだけ周年出荷できるものを生産いただく提案が必要でしょうし、その商品を出荷するまでの手間があまりかからないもの、あるいはスマート農業のように機械化、効率化できるようなものでないといけません。となりますと現実的には、出荷するまでの手間がかからないものを増やしていくアプローチの方が障壁が低いことを考えれば、露地枝物などがいいのではないでしょうか。いずれにしても物流問題の解決アプローチとしては、各地で周年出荷できるような取り組みが必要になるでしょう。
それから、各地域における消費振興も必要です。トラックの積載率向上が運送問題の一つのテーマになるぐらい日本のトラックは積載率が低いそうです。往路の荷物はあるが復路がない。往路が満載でも復路が空っぽなら平均積載率は50%になります。復路の積載率を上げるには、生産地域での需要、購買力のアップが欠かせません。生産振興とともに、実はその地域での消費振興も物流問題解決に貢献するということにも考えをめぐらせてみたいところです。
それではみなさま、ごきげんよう。