花研コーヒーブレイク
花瓶の高さはどのくらいが最適なのか
2023.01.25
こんにちは。みんなの花研ひろばです。
1月25日は日本最低気温の日とされています。1902年のこの日に旭川でマイナス41度を記録したことが理由のようです。ちょうど121年後の昨日、今日と日本列島を今季最強クラスと言われる寒波襲来。1月20日の大寒から2月4日の立春を迎えるまでは、その暦が示す通り1年のうち最も寒い時期にあたります。とりわけこの1月24-25日前後というのは寒波が襲来しやすい時期になるのでしょうか・・・と思わせる寒波です。日本最低気温の日に因んで、温まってもらおうと「中華まんの日」や「ホットケーキの日」が制定されているのはなかなか商魂のたくましさを感じさせます。寒波による交通の影響も大きいようですので、どちらさまも事故やお怪我のないようお気をつけてお過ごしくださいませ。
さて、そんな寒空の下でもおうち空間をほっと明るくさせる切花装飾。家庭で花を飾る際に欠かせないのが花瓶です。大田市場内の資材店さんや仲卸さんでも、お邪魔する度に素敵な花瓶が店頭に並んでいて、いつもワクワクさせられます。今週の仲卸通りでは、イチゴ型のかわいい花瓶が3色×大中小と3サイズ展開で並んでいて、だいぶ心を奪われました。そ、朝から奪われまくりでした。花瓶の色はまた別の機会に譲るとして、果たして花瓶サイズというのはどうやって成り立っているのでしょうか。今回は家庭用、とりわけビギナーさん用の花瓶にフォーカスしてみたいと思います。
花瓶サイズの設計として可能性があるのは・・・
- 流通している切花のサイズを基にされている
- 家庭の家具のサイズをもとに、シナジー効果を考慮して設計されている
- ユニバーサルデザインという設計思想があるように、「人」のサイズ(手の大きさや持ちやすさなど)を考慮したり、人間工学の観点から設計されている
- デザインありき
- 機能ありき(どのような用途にでも汎用性が高いとか、倒れにくいとか)
- 上記すべて考えすぎで、なんとなく
このあたりでしょうかね。ほかにもあるかもしれません。
さて、たとえばですが上記1を検証するために切花、切葉、枝類のサイズを調べるとしても、出荷時にセンチ表示ではない商品がまだまだ多く、なかなか実態把握は難しいように思います。とはいえ、どんなに短い商品でも全長20-30cmくらいはあると思います(もちろん中には15cmくらいのスペシャル商品×例外商品もありますが、9割以上の商品においてです)。となれば花瓶として期待したい深さは最低でも15cmくらいから高くても20cmくらいあれば、何とかなるという仮説が立ちます。高さ20cmあれば総丈40-45cmくらいの花きまでは余裕でいけることができます。それ以上深い花瓶では、むしろいけにくい花も多く出てきます。長い分にはカットすればいいのですが短いものを長くするのはビギナーさんにはクイズのような工夫が必要になり、むしろ面倒になってしまうこともあるかと思われます。
視点を変えて、スーパーなどの花売り場を見てみます。例えば花売り場の什器やスペースによって商品点数やサイズがかなり制限されるケースがあります。とりわけほかの商品と売り場確保をめぐり熾烈な戦いをするスーパーマーケットなどにおいてはその傾向が強いのではないでしょうか。スーパーなどの花き売り場で陳列されている商品サイズは60cm以上のものが多く、それより短いものを見かけることがありません。60cmに満たないものはスーパーなどの売り場で設置しにくいのか、従来の底の深い什器との相性がイマイチで敬遠されるのか。季節品目などより豊富なバリエーションを取り揃え、生活者に手軽に切花を飾ってもらうことを考えると、もしかすると什器の再検討をしてみる余地もあるのかもしれません。
次の写真は花研前に飾っている花の写真です。ある活動で小学生にお届けしたお花のセットをそのまま再現しています。使用している花瓶は、本来は花瓶ではなく、百均で購入した蓋つきにキャニスターです。花瓶にちょうどいいとラジオ番組で紹介して、そのまま使用しています。高さ20cmほど。高さ、口のすぼまり具合、軽量さ加減もちょうどよく、重宝しています。プラ素材なので落としてもガラス素材よりは破損しにくいので、こどもでも容易に取り扱えることがメリットです。
花生けビギナーさんで、どのような花瓶がいいかお悩みの場合は、こんな感じの花瓶からスタートしてみるといいかもしれません。冒頭でご紹介した花瓶設計に考慮されているかもしれない理由1-6、すべてを満たしているかもしれません。そもそも花瓶じゃないのですが。
定規をあてています。緑色の丸の部分が20cmで花瓶の高さを示しています。黄色の丸が25cm、これ以上高い花瓶ですと、長いもの大きいものを生けたり、ちょっと技術が必要になってくるかもしれません。
それではみなさま、ごきげんよう。