花研コーヒーブレイク
エンバペのカシワ
2023.01.05
こんにちは。みんなの花研ひろばです。
昨年末は最後の最後でFIFAワールドカップが開催されて国境を超えて盛り上がりましたね。(・・・なんだか年をまたぐと、脳内リセットされるのか随分前のような感じにも思えますが)
とりわけフランスの若手選手エンバペの注目度が高く、小欄でもエンバペの故郷に因んだ植物をご紹介させていただきました。とはいえ、デザインとして図形化された植物をその特徴や文化の点から特定するのはなかなか難しく、「お詳しい方がいらしたら教えてくださいシルブプレ!」と小欄でお願いしましたら、そのブログをご覧になった方から本当にご教示いただくことができました。森林や樹木の専門家の和歌山県在住のSさんです。泥油は2007年か2008年くらいからお世話になり、もう14-15年のお付き合いになりますが、いつもいろいろとご指導いただいております。
以下、Sさんから教えていただきましたことをご本人の了解をいただいた上で、以下に紹介させていただきます。
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実は、私もカシワの木が好きで、庭にカシワの木を植えております。本来、和歌山県にはカシワは自生していないのですが、学生時代に東北地方でカシワのどんぐりを拾って来て、育てた思い出のある樹です。今は大きく成長し、近所の方々も珍しいそうに見に来ます。カシワ餅の葉っぱに使う木だと説明すると、ある程度の方々は納得してくれるのですが、中には「カシワ餅の葉っぱ言うたら、 蔓に棘がある丸い葉っぱとちゃうの!? 」と聞く方も多いです。
そのとおりで、和歌山県ではカシワ餅の葉っぱは「サルトリイバラ」が当たり前です。サルトリイバラは花の業界で言う「サンキライ(山帰来)」とほぼ同じ植物です。しかし、学生時代に東京で食べたカシワ餅の葉にびっくりして、東北までどんぐりを拾いに行った訳です。また、カシワは冬でも葉が落葉せずに枝に残っている(クヌギの葉も同じような特徴があります)ため、そこに神が宿る木と考えられ、神聖な木とされています。葉には芳香があり、さらに翌年に新芽が出るまで古い葉が落ちない特性から「代が途切れない」縁起物とされ、カシワ餅を包むのに用いられたり、家紋にも使われているようです。
さて、エンバペに話を戻しますが、フランスはワインの国ですので、今頃は故郷のボンディで美味しいワインを飲んで体を休めているのではないでしょうか。つまり、ボンディのロゴにある3枚のあの葉っぱは「ヨーロッパナラ」ではないか?と考えるのが私の推測です。
「クエルカス」は学名:Quercusから由来していると思われますので、和名で言う「コナラ属」の樹木に付く学名です。「コナラ属」でフランスに多い樹種と言えば、和名:ヨーロッパナラ、英名:English oak、学名:Quercus roburの可能性が高いと思われます。
葉の形からしても「ヨーロッパナラ」ではと思われます。 材は、ワインを熟成させる樽の材料に使われることで有名です。
しかし、食えるわけでもカスでもないクエルカスの実が、秋に染めのクエルカスとして、ヨーロッパから輸入されて大田市場で流通しているとは驚きです!
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ということで、エンバペといえばヨーロッパナラということでございました。輸入品で染めたものが大田市場にも流通しますので、ご注目いただければ幸いです。
これからも身体能力、集中力が突出したエンバペの活躍から目が離せませんね。
それではみなさまごきげんよう。