花研コーヒーブレイク
春は黄色か桃色か・・・
2013.02.19
先日小欄で菜の花は食べるのと観賞用と違うのか・・・から始まり2月12日の菜の花忌まで、春の花である菜の花について少し書いてみました。
春はなぜか黄色い花が多いイメージ。
最初に春を告げるフキノトウやスイセン然り、そろそろミモザウィーク到来のミモザ然り、そのほかタンポポ、ロウバイ、レンギョウ、キンポウゲ・・・みなさんも思いつく花があることでしょう。
自然界に黄色の花が多いのは理由があります。単眼の昆虫の目には、人の目に見える黄色に反応しやすいからのようです。昆虫の目が受容できる光の波長は、青や紫の短波長の光。彼らには淡い青色に映っていると思われますが、それが人には黄色や白っぽ色に見えるようなのです。
欧米では、春と黄色のイメージは欧米ではしっかり結び付いていて、イースター(復活祭)は黄色で祝います。
翻って、日本人の文化ではいわずもがな、春のイメージにはピンクを抱いている人が多いですね。
これはやはり桜カラーからきているのでしょうが、雛祭りの桃にも既に春のピンクを見ることができます。菱餅のピンク色も桃が咲く事象を象徴しています。ちなみに三色のうち、白は雪で緑は新芽。雪が溶けて大地から緑が芽吹き、桃の花が咲くという春のストーリーを菱餅で表現しているわけですね。う~ん、手のひらサイズの四角い菱餅の中にも宇宙が広がっています。
脱線しましたが、では英語でpinkと言えば、何を指し、欧米の人はどのようなイメージを持っているのでしょうか。
色のピンクもありますが、実は英語でpinkとは「ナデシコ」を指します。多くのナデシコはピンク色なので、ナデシコのことをピンクと言っているうちにその色自体をピンクと呼ぶようになったようです。つまり、ナデシコの呼び名のpinkの方が色のpinkより先に生まれたということになります。
そのpinkが日本に入ってきて、専ら色を指すようになりました(・・・あ、色以外を指すこともありますかね)。
そのほか英語で、
be in the pink
be in the pink of condition
be in the pink of health
などといえば、「ピンクの中にいる」という直訳ですが、「絶好調」とか「とても元気!」という意味になります。
血色が良く、頬がピンク色で健康的イメージからきているのかもしれません。
春は、死を象徴する季節である冬が過ぎ去り、最初に到来する季節。つまり血が通い始めて、人々の血色が良くなって、明るく元気になる季節。
春のイメージでpinkと答える人は欧米には少ないかもしれませんが、無意識のうちに健康的で元気な色というイメージを抱いていることには違いないようです。昔から日本人も桜を見て、1年の豊穣を祈り、ピンク色から幸せや元気をもらってきました。
まあ、日本人も恐らく新春は黄色、4月の本格的な春の到来でピンクというイメージを持っているのではないかと勝手に想像中です。
今日は東京でも雪が舞っていましたが、あと1カ月くらいすれば「元気の季節」が到来しますね。