花研コーヒーブレイク
一富士 ニ鷹 なぜ茄子?
2013.01.09
もう今頃までには初夢もご覧になったことと思います。
初夢で見ると縁起のいいものといえば、昔から「一富士 二鷹 三茄子」と言われますね。
富士も鷹もなんとなくランクインする理由はわかりますが、なぜ茄子が3番目??と不思議に思われた方へ。諸説あるようですが、有力な説をご紹介させていただきます。
縁起物として、日本一の富士、賢くて強い物の象徴として鷹、事を「成す」にかけて茄子というのが一つ。
そのほかに、徳川将軍家ゆかりの地である駿河で名物とされていたものとして、富士と鷹と茄子を挙げたという説もあります。
その駿河の上空を飛んだ一昨日、雲海から突き抜ける見事な富士を見ることができました。
富士は下から、或いは横から小さく見るものだと思っていましたが、この角度から見るというのはどちらかというとスペシャルオケージョンのような気がします。
ちなみに、「一富士二鷹三茄子」には続きがあって、「四扇五煙草六座頭(しせん ごたばこ ろくざとう)」と、実は6つの縁起物が謳われています。
4つ目の扇(おうぎ)は祭礼や舞踏の小道具、5つ目の煙草(たばこ)は酒とともに、祭りや人の集まる場所では欠かせないもの、6つ目の座頭(ざとう)とは、琵琶法師として琵琶や三味線などを弾いていた人。つまり祝い事などに必要なもの、縁起物として挙げられています。
日本人は何かにつけて何でも縁起が重要だとしていますが(私自身もそう思いますが)、これほどまでに縁起を担ぐのは、やはり昔から自分たちの力でコントロールしえないものが、たくさんあったからなのではないかと思います。災害や不安定な天候、もちろん地震も然りですし飢饉、病気、云々かんぬん。恐らく現在先進国と呼ばれる西洋の国々に住む人々よりも、やはりコントロールしきれない要素が多く、悩まされてきた所以なのかもしれません。
現代の私たちにおいても状況は同様です。
経済、文化、文明が発達して豊かになると、ともするとあらゆることが自分たちの力でコントロールできるのではないかと錯覚しがちですが(もちろん、それもありますし、そのような気概も重要だと思います)、しかし一方で災害の多い日本では長年かけて積み上げてきたものを、災害などによって一夜のうちに破壊されてしまうということがあります。
そのほかにも経済、日本社会の高齢化、アンバランスな人口動態、政治、増税、etc. etc., 何とかしたいけれども、個人の力では何ともし難い多くの要素が私たちの生活を取り巻いています。
それでも昔の人たちのように逞しく、縁起を担いででも明るく前向きに歩んでいける1年にしたいと思います。