花研コーヒーブレイク
米消費の行方
2012.12.21
昨日、小欄でご御番茶について紹介させていただきましたが、実は最近粗食が体にいいとかなんとかいう本を読んだら、それに書いてあったわけです。
その本を読んだのも、ある日カバンにいつもの本を入れ忘れたことがありまして、そういう日に限ってあちこち外出で移動時間が長くなりそうだったため、出かけに会社の食堂にある貸し出し用の本棚から拝借した本がそれだったというわけです。
会社の食堂には、大田花きの社長が読んだ本がずら~っと並べられていて、社員は自由に借り出したり、閲覧したりできるようになっています。
まあその本棚の豊富さったら、半端ありませんよ。すごいスピードでジャンジャカ増えていきますから。もうたった数年前のものとか、社員に人気がなさそうな本は逐次整理していかないと、食堂スペースは本に浸食されそうな勢いです。ちゃんと管理しないと食堂はあっという間に図書室になるでしょうな、こりゃ。豊富な情報源をご提供くださる社長にも、管理してくださっている方々にも感謝です。
脱線しましたが、実はそんな本棚から急場しのぎでたまたま手にした文庫本だったのですが、思いのほか面白く読ませていただいたわけです。
その粗食を勧めている本には、玄米か、或いは家族がいるなら五分づきくらいの米を主食として季節の野菜、芋、豆などがいいでしょうと言っています。特別なことを言っているわけではないのですが、これを読んで何を思ったかというと、日本の米消費の行方についてです。
2012年を振り返れば色々ありましたが、農業に関する一大ニュースといえば、1つは日本における1世帯当たりの消費額で、パンが米を初めて上回ったということでしょう。
食文化もライフスタイルも西洋化、多様化し、必然といえば必然で、それらの逆転に今更驚かない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、大袈裟かもしれませんが日本有史以来の大ニュースです。世帯当たりの米の消費額は、20年前の半分以下にまで急激に落ち込んだのです。この一つの事実の裏には多くの要素が存在すると思います。
一方、パンの消費額は米消費の刺客的存在として劇的に伸びているかというとそういうことでもなく、パンを含めた麺類などの小麦粉製品は緩やかに上昇を続けているといった具合です。パンや麺類などの消費額はゆっくりと、しかし着実に消費を伸ばし、どちらかというと米だけが独りで転んでしまったようなイメージです。
理由は色々考えられますが、米で育った世代の高齢化と、米食以外で育った若い世代たち、加えて人口減少を考えると、これからも米の消費額は減少が見込まれます。
しかし、一方で今回の本を読んで思ったことに戻るのですが、世の中には諸々の健康論が溢れ、あっちとこっちとが矛盾していることもよくあります。あれを食べると良い、これが体に良い、或いは何も食べない断食方法がいいとか、あまりにもいろいろな健康論が氾濫して、何が本当なのかわからなくなってきています。
「これを食べるといいよ」的なメディアの発信にもう反応しない人も出てきています。
こうなってくると、人々は何が真実なのかを模索して、結局日本の粗食に戻るのではないかと思ったわけです。
つまり日本の粗食とは、米を中心としてみそ汁と野菜と魚と・・・
その土地のものではないもの、文化的にそこで受け入れられきたものではないものを長い間大量に摂取しすぎると、いつか弊害が出てくると思います。それが行き過ぎた時に、やはり健康のために本来は何を食べて生きていくべきなのかというような論調になって、食生活を根本から見直す時が必ず来るのではないか、 その時結局は真実に戻ってくると思うのです。
いつ戻ってくるかわかりません。逆転を取り戻せるかというところまで消費が回復するかどうかもわかりません。
消費の回復を期待するには、実際には遠すぎる将来なのかもしれませんが、いつか必ず米の消費が回復する日を思ったのでした。
井戸端会議程度の漠とした思いですが、皆様はいかが思われるでしょうか。