OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

スーパー・量販店の花売り場はセカンドステージに入るか

2021.11.04

こんにちは。泥油育子です。

なんでもそうですが、例えばテレビ番組ひとつにしても、制作時点で明確にターゲットとしている視聴者層があり、自分自身がそのコアターゲットから明らかに外れているなと思うことが非常に多くなりました。もはや決まった時間帯に決まったチャンネルを観るくらいで、テレビ番組から情報や娯楽を得る機会はとても限定的になりました。泥油と同世代の人に伺ってみますと、ネットフリックスとyahoo!ニュースを見るようになり、テレビは全く観なくなったと言っていました。

 

翻って花業界はチャネル別、あるいは店舗別に長期スパンでターゲットを据えて(あるいは見直して)商品展開をしているでしょうか。短期的に見ると確かにきめ細やかなマーケティングをして、大変素晴らしい売り場づくりをされているところをよく見かけます。では長期スパンではどうでしょうか。

例えば、スーパーというチャネルにおいては、ファーストステージで50歳代以上を狙った仏花束を販売し成功しました。食料品と同じ場所でワンストップで花も買えるという利便性が功を奏し、時代の新しいチャネルを確立したといっても過言ではないでしょう。スーパーマーケット白書によると、全国のスーパーにおける花売り場の設置率は今や97%にも及びます。つまりほぼすべてのスーパーに花売り場はあるというわけです。現に全国消費実態調査のデータ(2019年)から算出すると、既にスーパーで生花を購入する金額シェアは生花専門店における金額と同じで、量販店を合わせると生花専門店を凌駕する計算になります。金額が同じということは、恐らく本数では数年前には生花専門店を超えていたと想像できます。

 

しかし、そのスピードは2014年に発表されたものから試算するより若干鈍化しています。恐らくスーパーではセカンドステージにきていて、これまでの成長モデルから一歩進み新しい提案をしていく必要があるのではないかと思うのです。例えば、若い世代のデイリーフラワー需要を狙うとかホームユース、インテリアとして楽しめる花(そうなるとインテリアのパターンも想定して)や知人宅にお邪魔するときのちょっとした手土産の花、あるいは現実的には障壁が高いかもしれませんがサブスクスタイルもいいかもしれません。季節の花でこれが旬だからとか、色合わせでこれがかわいいからとか、コロナ禍で伸びてきたこのようなニーズを追い風に新しい売り場を創造していくときに来ているのではないかと思います。「季節の花で旬だからこの花」とか、「色合わせでかわいいからこの花の組み合わせ」というスタイルではプロダクトアウトになってしまいます。花を主語にせずに生活者のライフスタイルを想定したマーケットインの提案が必要でしょう。

 

もちろん既に多くのスーパー・量販店さんの生花売り場がとっくにセカンドステージにおける充実した提案をされていることは承知しているつもりですが、一方で全体で見ればその手前の成長の踊場で提案されているところが大半のように思います。ユニクロやサブスク、生花店以外の生花販売所など、新しいチャネルも台頭してきていることから、早めにモデルチェンジ、もしくは新モデルを追加していく必要があるのではないでしょうか。

 

こちらは、あるスーパーで拝見したプチブーケです。写真はいずれもスーパーの無人花売り場のものです。

スーパーAの花売り場

pansybouquet PB

 

スーパーBの花売り場

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その日によって多少の違いはありますが、セカンドステージにステップインされた感じがあります。個人的なアイデアにすぎませんが、スーパー・量販店さんの花売り場が新しいステージでさらに売り場を活性させるには、小売店の要素を取り入れていくことが重要かもしれません。

 

 

ちなみに私どもで提供しております「ここほれわんんわん」に掲載している花研カレンダーでは、毎月品目にスポットを当て、専門店カテゴリーと量販店カテゴリーどちらの買い上げが伸びてきているか、2017年から2020年まで暦年で追跡し紹介しています。

例えば12月はストックとグロリオサにフォーカスしています。こんな感じで量販店カテゴリーが伸びてきていることがわかります。

↓赤丸が量販店カテゴリーに分類される買参人様の買い上げシェアです。年を追うごとに買い上げシェアが上がってきていることがわかります。

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11月はディスバッドマムとネイティブフラワー、10月はアルストロメリアとダリア、9月はケイトウとリンドウ、8月はクルクマとヒマワリ、7月はデルフィニウムとトルコギキョウ・・・(あとは花研カレンダーをご参照ください)が掲載されていますので、ぜひご参照くださいませ。ほぼすべての品目で量販店カテゴリーのシェアが伸長傾向にあります。

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ここほれわんわんサイトはこのようなこのサイトにしかないオリジナル分析データもぜひご活用いただけますと幸いです。

ついでにフラワービジネスノートはこちら。

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それではみなさま、ごきげんよう。

 

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