花研コーヒーブレイク
アジサイはやや秋色めいた感じで残っているところが多いような気がします(例年比)
2021.07.08
こんにちは。ボンソワール桐生です。
アジサイが開花したのち、しばらくすると徐々に色があせて渋い色合いになります。切花ではこのステージにおいてもガクが奇麗な状態が維持されたものが流通し、これをアンティークアジサイもしくは秋色アジサイといいます。
流通名や呼び方は出荷者による命名ですので決まったものはありませんが、商品を見ていただければその名称がよく理解できます。ほかにもグレイッシュなんちゃら、アッシュなんちゃらとかアースカラーとか、言い方はあるかもしれませんね。
今日、この時点では個人的嗜好から鈍色(にびいろ)というのも面白いような気がします。鈍色とは灰色がかった色を指すそうです。
鈍色とは藍色みのある薄墨色で平安時代公家の喪服にも使われていたのだそうです。
写真のアジサイですと、正確な鈍色とはいえないのですが、元々もっていた色が失われ、緑色となり、やや褪せた感じもあり、・・・というアジサイの表情には鈍色が持つ語感が当てはまりそうに思いました。
日本には伝統色という実に渋い色調があります。名称も格調高く、そしてこうしたアジサイの刻々と移り行く色味を情緒を保ちつつ的確に表現しているように思いますね。
錆浅葱(さびあさぎ)とか高麗納戸(こうらいなんど)とか、いずれも緑からグレーに向かう微妙な色を示す用語ですが、このあたりもアンティークアジサイの表現にそぐうように思いました。
梅雨時は、街や庭の秋色化したアジサイの色をどう表現するかを考えながら観察するのもいいですね。
それではみなさま、ごきげんよう。