花研コーヒーブレイク
桔梗
2012.06.08
6月に入り、桔梗の季節となりました。
桔梗といえば細川ガラシャ。
桔梗の花をモデルに創られた家紋(桔梗紋)は戦国武将明智光秀の家紋として有名です。その明智光秀の娘細川ガラシャは絶世の美女だったと伝えられています。
そしてキリシタンでもあったガラシャは数多くの困難に耐えながらも、最期は自殺であったという刻印を押され、天国にも行けない悲しい運命をたどったといわれています。
桔梗の花色、青紫色は絶世の美女であったガラシャに相応しく、美しさを極めています。また、青紫色は寒色であり、悲しい運命を辿ったガラシャのようにどことなく、儚く寂しい雰囲気も持ち合わせています。
さらに桔梗の形、型崩れの美しい星型には、キリシタンの女性でありながら忍耐強く生きたガラシャの芯の強さが感じられます。
一方、桔梗で思い出すもう一人の女性は、キタエリこと喜多村英梨さん。
和風ロックテイストである紋(しるし)という彼女が歌う曲は、女性の強い生き様を表した曲です。歌詞のほとんどに和の単語が使われ、「紺碧の空は桔梗色に変わるの」 「幾重の織色羽よりも一の紋」など歌詞は桔梗の美しさを引き立てます。サビの曲調は桔梗の花がなびいて咲いている風景にもマッチしています。
桔梗(キキョウ)はキキョウ科の多年草。万葉集において秋の七草と詠われています。
花言葉は主に「誠実」「変わらぬ愛」。
また花色によって花言葉の表現が異なり、一般的な青紫(桔梗色)は「誠実」と「友情」、白い桔梗は「清楚」と「気品」、ピンク(桜色)の桔梗は「薄幸」。
完成度の高い星型の花は、先述のような明智光秀の桔梗紋や安倍晴明が使用した呪符(晴明桔梗)の図案として使われました。
和の風情を感じさせる色彩にピンク(ほんのり桜色)があります。この桜色と星型には京の趣があり、とても可愛らしいのですが、桜色の桔梗は山野草として扱われることが多く、一般にはあまり出回らないため希少な品種といえます。
梅雨に咲く花といえば、紫陽花・桔梗・露草(ムラサキツユクサ)というイメージがありますが、現在では桔梗というとトルコギキョウ(リシアンサス)を思い浮かべる人が多いようです。
トルコギキョウはリンドウ科ですから、桔梗とは全く関係ありません。なぜ名前にキキョウが使われているのか不明ですが、大正から昭和にかけてトルコギキョウが日本に渡来した際、桔梗を思わせる青紫色をしていたからというのが一説にあります。
また、トルコギキョウは盛んに品種改良され、今や洋花の代表選手の一つですが、一方桔梗は切り花の出回り量が少なく、流通期も限られ、店頭でもなかなか見かけなくなりました。
時代の変化を感じると共に、店頭から和風アイテムが消えゆく寂しさを感じます。
(む)