花研コーヒーブレイク
スズランはランなのか?
2012.03.30
事務所にスズランが飾られた。あまりのかわいらしさに連写。
今の時期のものだから施設栽培。品質もさることながら、濃厚な香りも素晴らしい。
スズランの花を下から見るのは、女の子のスカートをのぞき見るような感覚に似ているが(したことないけど。あたし女の子だし)、スズランの場合は「犯罪」ではなく「観察」になるのが違うところ。
スズランといえば香りの調査研究でブーケを作ったときのこと。
「ランの香りをテーマに季節の花と組み合わせて香りのブーケを作りましょう」というお題目にて、ランを必須アイテムに葉物を含めあらゆる香りの品目と組み合わせてブーケを作り、メンバーであーでもない、こーでもないと講評し合う。
1人が何個もブーケを作るので、皆でいろいろ作っているうちに必須アイテムのランは残り少なくなり、組み合わせとして準備された品目だけが潤沢に残った。
すると、夢中になっていた私はその日のお題目も忘れてうっかりブーケにランを入れるのを忘れてしまった。
講評タイムまでそのことに気づかず、上司から得た講評は・・・
「香りのバランスはいいけど、テーマのランが入っていないから0点」。
あッ!と慌てふためき苦し紛れに放った言い訳は、
「ラン、入っていますよ!入っています!!
・・・ほら、スズラン」
どうやら私は口から生まれてきたらしい。記憶にないが。
その場の失笑を買ったが、そもそもどうしてスズランは球根植物なのにランと付けるのか。植物博士ではない私に言わせれば、鈴蘭と書くならスズランだって「ラン」ではないのか。「鈴」は見た目の通りで理解できるが、なぜ「蘭」なのか。
分類上はユリ科スズラン属。一方、ホンモノのランはもちろんラン科。
ランでもないのになぜ「●●蘭」なんて名前付けるんだ。
実は他にもそういう品目はある。
鳴子蘭(ナルコラン)、こちらもユリ科。
君子蘭(クンシラン)、ヒガンバナ科
葉蘭(ハラン)、ユリ科。市場では定番の葉ものとして取り扱われている。
竜舌蘭(リュウゼツラン)、リュウゼツラン科。通称アガベ。テキーラの原料になる植物。(以前はユリ科に分類。ヒガンバナ科とする人もいる)
このようにみると、ユリ科とヒガンバナ科に大別されることがわかる。ランでもないのに「●●蘭」という名前が付けられた理由を物知り博士に聞いてみると、江戸時代や明治時代に日本に渡来したときに、日本原産ではなくちょっと“珍しい洋物”に「●●蘭」と名付けていたということらしい。
なるほど、確かに伊藤蘭ちゃんも当時にしてはちょっと洋物チックなお顔立ちだ。あ、こちらは本名でしたか。
これで一つ長年の謎が解けた。