花研コーヒーブレイク
昔の図鑑で学びを得て、業界の先達に敬服
2020.05.21
こんにちは。ボンジュール内藤です。
ちょっと調べものがあって、昔の本からなにからひっくり返して参照しておりました。
例えば「最新切り花図鑑」は1997年に主婦の友社から発行された写真も情報も充実した切花流通のバイブル的存在。
あるいは草土出版から1996年に発行された「花図鑑」など。こちらも花色別に整理されていたり、草姿全体が掲載されていたりと、大変素晴らしい図鑑で重宝しています。
これらの本の初版から20余年経過した今でも、流通品目としては大きくは変わりはないものの、やはりその姿や草花品目などは大きく変わっていることもあり、大変興味深く勉強させていただきました。流通は現在においてもささやかながらあるかもしれないけれどもほとんどない、少なくとも図鑑に載るほどの量はないという細かい草花品目も紹介されていました。
切り花として紹介されているコリンシア、メキシカンハット(ラティビダ属)・・・
カライトソウ。写真では赤いエノコログサのように見えますが、ワレモコウ属との記載。なるほど~
クロスサンドラ(クロッサンドラ)、カカリア(エフデギク)など、ほかにも例を挙げれば枚挙にいとまがありません。
もし今、定量流通していたら、ひょっとしたら売れていたかも~!?なんて思わせる雰囲気の花材もありますが、日持ちがどうかもわかりませんし、販売単価対生産コストや歩留まり、生産効率など、様々な点からなかなか生産が苦しい時代があったこととお察しいたします。
一方で、このような品目が掲載されているところ拝見しますと、細かい流通品目まですべて網羅しようという編集部の意気込みも感じられます。
また、同じ名前でも現在の出荷の姿とは大きく異なる品目もいくつか見受けられました。
例えば、いまならクサボタンといえば、別の姿で出荷されますね。同じくクレマチスと記載がありますので、以前はこのような姿で出荷されていたということでしょう。
↓写真下段はブバリア。現在と花付きが全く違います。
現在のブバリアといえば、こちら(大田花きのインスタグラムにリンクします)
「アスルトロメリア(原種)」の表記で、このようなアルストロメリアが紹介されていました!
業界の大先輩が編集に関わった図鑑を前に、新人のアタクシには真っ赤なデルフィニウム、カージナルなども目を引きました。
これらはほんの一部ですが、花姿の違いや流通品目の入れ替わりがこれまでの20余年の時間の経過を物語っているようにも思います。
同じように見える花も、生産者さまや種苗会社のみなさまの日々のたゆまぬご尽力のおかげで大きくその姿や性質、生産効率などあらゆる点から改良され、大きく進化し、現在のマーケットに適ったものになっているのですね。
さらにすごいのはこちら。
以前ご紹介したことがあったかと存じますが、小学館の「植物の図鑑」。初版は昭和31年・・・えっと、西暦では1956年です。
世界の珍しい植物のページでは、現在では国内でも珍しくなくなったリトープスが紹介されています。しかも「イシコロマツバギク」の名前で。
「イシコロ」とはよく言ったもので、「リトープス(Lithops)」とは古ギリシャ語の「石」を意味する“Lithos”と「顔」を意味する“ops”からきているようです。「石のような顔を持った」、つまりは「石のように見える植物」という意味に由来しているというわけですね。
んで、この話は以前と被るかもしれませんが、このイラストを拝見すると、本物のリトープスに触れたことのある方は、なんだか違和感を覚えると思います。
葉に対して、花芽の出方が本物と微妙に違うのですね。とてもよく描けているイラストか存じますが、恐らくは当時は本物をなかなか見る機会がなく(なんてったって実に64年前ですから!)、ちょっとだけずれてしまったのだろうと思われます。
植物の図鑑ですから、花きに限らず、野菜や果物の説明ページや樹木の葉の付き方などを説明するページなどもあり、つい見入ってしまいます。
植物ではありませんが、ついでにキノコの説明ページなんかもあります。
海藻、コケ、地衣類まで網羅していて、当時の児童たちはこの図鑑を相当興味深く見ていたでしょうね。
今見ても、かなり勉強になりますし、少なくとも私にとっては価値ある1冊です。
そんなに価値があるのに、この装丁で350円。消費税なし💛
いや、消費税導入後に買ったので消費税は払いました。
どの本にも共通したことは、めくっているとマスクをしていてもなお、くしゃみが止まらないということでしょうか(笑)
・・・古本独特のホコリによるものです。
それではみなさま、ごきげんよう。