OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

一部の生花店様に見るニューノーマルの芽

2020.05.12

こんにちは。ボンジュール内藤です。

 

本日、いましがたJFMAのオンライン理事会があり、コロナ×母の日/母の月における販売の様子を理事の皆さんで報告しあいました。売り上げが伸びた分野、減少気味だった分野など、参加理事の業務形態における報告や伝聞などを含め、チャネル、場所、モノ、時期・時間などによって販売の明暗が大きく分かれたことがよくわかりました。

 

さて、理事会でも少し言及しましたが、一部の生花店さまではこのコロナ禍をきっかけに新しい母の日の在り方を再考する動きが見えたようです。

たとえば、個人(おひとり)で埼玉で生花店を経営されているAさんから伺ったお話。例年は土日も当然のごとく休みなくお店を開けて、母の日らしく商品をずらりと並べ、どれが売れるのか毎年見極めながら次回の仕入れを考えて補充と、どちらの生花店様でもやっていらっしゃることをスタンダードにされています。商品提案ばかりでなく、切り・鉢問わず日持ちにも日頃から細心の注意を払ってご提案されている生花店様です。

ところが今年は4-5月において週に1日しか店舗を開けていないとのこと。大田市場への仕入れも週に1度。

母の日は、お電話や店頭で事前に予約をしていた方のみ対応で、当日の店舗対応などはナシでした。

 

その結果、・・・!

 

なんと「毎年必死に齷齪(あくせく)して販売しているときと、今年の販売と粗利がほとんど同じなんです」とご本人の言。

これにはさすが驚いてしまいました。(実際に最前線に立つ生花店様は共感される方も多いかもしれませんが)

店頭で売るためには、それなりにたくさん商品をそろえないといけません。例えば赤色が最も売れるとわかっていても、赤を売るためには黄色やピンクをそろえる必要があります。資材も見込みで多めに調達しますから、何にしても結局はロスが出ます。毎日朝から晩まで立ちっぱなしで飲まず食わずでお手洗いに行くのも忘れて販売して、片づけをして午前様で帰ろうと思えば、その疲労と時間短縮の観点から高速道路や電車なら特急に乗って帰ろうとなります。注文も重なれば日雇いでもアルバイトさんも必要となってきます。となれば、どうしても全体的にコスト高になります。個数を売って売上高は伸びたように見えても(実際に伸びていると思いますが)、薄利になるのは仕方ないと思ってたと。

ところが、今年はその精神的、また身体的にも追い詰められたり、そこまで大変な思いをしていないのに、いつもと同じくらい利益を残せたことにご自身でも驚かれていて、来年からのスタンダードにしようかと考えているとおっしゃっていました。

 

全部の生花店さまに共通した話とは言い難いと思います。(むしろ全部がそうなってしまうと大変なことに!)そのようなスタイルができるところとできないところがあるでしょう。営業地域性もあるでしょうし、あくまでも小規模な個人事業主であるAさんにとってはそうであったということです。企業では近年働き方改革が叫ばれていますが、Aさんのような個人事業主にとっても思わぬところで働き方改革を実行するきっかけとなったわけですね。効率の点からいつかそうなるといいなと思いつつも、もっと先のこととして捉えていた未来が、予想だにせず早くやってきたという感覚でしょうか。今年はそのようなことがわかり、とても大きな成果を得た母の日だったということでした。なるほど、一部の生花店様に見るニューノーマル(新たな常識)の芽とでも言いましょうか。新しい選択肢として誕生した働き方改革の一つなのですね。きっとほかにも花き業界のニューノーマールはあちこちで発芽していることと思います。引き続きウォッチしていきたいと思います。

 

それではみなさま、ごきげんよう。

 

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