OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

ハナショウブとハショウブは別の植物

2020.05.06

こんにちは。ボンジュール内藤です。

 

あ、うっかり5月6日になってしまいました。昨日の5月5日こどもの日にあてて書こうと思っていたブログでした。it’s too lateではございますが、また巡ってくるこどもの日のために雑ネタ。ハナショウブ(花菖蒲)とハショウブ(葉菖蒲)は別の植物だということを少し。

 

ご存知の方には何をいまさらという話ですが、意外とご存知ない方もいらっしゃるかと思いまして。

こどもの日には、菖蒲が尚武(しょうぶ;武事を尊ぶこと)に通じることから、男の子の成長を祝うの日に菖蒲を飾るようになったといわれます。

さらに遡ると、日本ではもともと端午の節句は女の子のお祭りだったのだとか。早乙女(さおとめ)と呼ばれる若い女性が、田植えを始めるときに穢れを祓う行事。田の神様に対する女性の厄払いの日だったのだそうです。

一方、古代中国では5月5日は「重五(ちょうご)」と呼ばれ、病気や厄を祓う日だったのだとか。菖蒲やヨモギなどを摘んだり菖蒲酒を飲んだりして、健康を祈ったそうです。

 

これらの習慣が結び付き、日本では飛鳥時代に端午の節句が生まれたと一説にあります。菖蒲の薬効が穢れを祓うとして厄除けに使われるようになり、菖蒲を軒に吊るしたり、菖蒲湯に入ったりするようになったそうです。

これが男の子のお祭りになったのは、武士が台頭してくる平安時代以降。鎌倉時代には宮中より武家社会に節句が伝わり「武を尊ぶ」という意味合いから引き続き菖蒲を使用したと。

江戸時代には、菖蒲が先述の通り「尚武」に繋がることや、菖蒲の葉が剣の形を連想させることなどから、男の子の成長と出世を願う行事となったということです。

 

ここでハショウブとハナショウブの話に戻りますが、こどもの日には市場では両方取引が盛んです。取引の時に混乱しないようにハショウブ、ハナショウブと言い分けますが、実は別の植物です。

 

菖蒲湯に使うハショウブはサトイモ科の植物で、古く中国ではこちらが使われていました。上記の菖蒲が端午の節句に使われるようになった由来について登場する菖蒲もハショウブ。本来は菖蒲といえばハショウブを指すわけですね。ハショウブは一般的には葉は太いところで幅2.5cm程度、全体的には光沢と特有の香りがあります。昔から薬効が信じられ、葉は煎じて腹痛や打ち身に使われたり、根は漢方薬として胃薬や解熱などの薬として用いられたのだとか。やがて、お湯に浸かって柔らかくなった葉を頭に巻くと頭がよくなる、お腹に巻くと病気をしないといわれるようにまでなったようですが、最近はそこまでの光景は見ないように思います。

 

市場で取引される荷姿はこんな感じ。(一例です)

IMG_0954[1] IMG_0956[1]

 

流通上便宜的にハショウブといいますが、植物ですから一応花が付きます。サトイモ科なのでアンスリウムの鼻(肉穂花序)に似たこんな感じの花を付けます。

hashoub1 hashoub2

 

一方、ハナショウブは日本原産でアヤメ科アヤメ属の植物。花の姿は皆様ご存じの通りですが、葉が菖蒲に似ていながら美しい花を咲かせることから、ハナショウブと呼ばれるようになったのだとか。ちょうど端午の節句のころに開花することもあり、節句のお祝いに使われるようになったのだと思います。いつ頃から花菖蒲が使われるようになったのでしょうか。なかなか教えてくれる文献が見当たらないのですが、端午の節句の古い歴史から考えれば、比較的新しい文化のように思います。

 

「いずれ菖蒲(アヤメ)か杜若(カキツバタ)」というフレーズは源頼政が詠んだといわれる一句に由来し、選択に迷うほど美しくて優劣をつけがたいことを指す表現に使われますが、アヤメ、カキツバタ、ハナショウブはいずれも日本原産のアヤメ科アヤメ属の植物。見分けが難しいのももっともだというわけです。そこで見分けのコツを「花研手帳2014」にまとめていますので、(もしお持ちの方は)『花研手帳2014』34-35ページをご覧ください。

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雑ネタのご紹介でした。

それではみなさま、ごきげんよう。

 

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