花研コーヒーブレイク
JFMA定例セミナー「人はどうしてスキになるのか」は大変すばらしいものでした
2020.01.15
こんにちは。ボンジュール内藤です。
昨日はJFMA(日本マーケティング協会)の定例セミナーが開催されました。
会場60人定員の所、80名弱の申し込みがあったようで、テーブル席はもちろん満席で、補助椅子を出して対応。
講師の先生は小欄でも以前よりご案内していた通り、早稲田大学理工学術院教授渡邊克巳先生です。
ぜひ花き業界で一度渡邊先生にご登壇いただきたいと思っておりましたが、この度その願いが叶いました。これも一重に、JFMA事務局のみなさまのご尽力のお陰です。お忙しい講師とのやり取りや内容の調整など大変だったと思いますが、事務局のお陰でこの度のセミナーが実現しました。
ご多忙を極める渡邊先生がスケジュールを確保してご登壇くださったのも、奇跡的なことではないかと私自身はとても有難く、また嬉しく思っております。
ご参加のみなさまからは大変好評でございました。
お忙しい中、会場にお越しくださった皆様には心より感謝申し上げたく存じます。遠路からお越しくださった皆様もありがとうございました。
会場の様子はこんな感じでした。
講演の内容の一部ですが、人はヒトの第一印象を0.1秒で決める。その印象は
人がヒトを好きになるのは、親近性(何度も見ること、会うこと)で高まり、一方、景色・背景などの周辺情報は新奇性(初めて見ること)で好きになる。
つまり、人のことは見れば見るほど好きになる。「知っている」ということはものすごく「好み」を形成するのだそうです。選挙活動で何度も顔を見せることは意味があることを裏付ける検証結果と。
先生は人で検証したとおっしゃっていましたが、この理論からいけば、花ももっと生活者の目に触れること、接触する機会を増やすことが必要なのではないでしょうか。以前弊社が行ったアンケート「なぜ花を買わないの?」で花を一度も買ったことない人に理由を伺うと、
「興味がない」28.9%
「必要がない」14.0%
「花を買う発想がない」6.1%
「機会がない」5.3%
・・・と、接触する機会が少ないことで興味がない様子が窺える理由だけで半分以上になりました(54.3%)。
そのほか「値段が高い」8.8%、「経済的余裕がない」7.9%、「枯れるのがいや」7.0%、「管理が面倒」6.1%などが主な所でした。
それを裏付けるように、先生ご自身がおっしゃっていたのですが、これまで花との接点がなく、あまり興味がなかったそうなのですが、この度の花き業界との接触を機会に「めちゃくちゃ興味を持つようになった」(2020年1月14日時点のお話です)と。ですから、やはりもっと生活者が自然に生花と触れる機会を作ることが必要なのでしょう。
また花という商品は暮らしの中では周辺情報、背景に近いので、新奇性が重要。つまり、いつもそこにある花でも中身が変わっていくこと、生活者が見たことがないような商材や季節指数の高いものを提案していくことがポイントなのかなと思いながら拝聴しておりました。
ほかにも、人は行動によって好きになるのだそうです。好きだから行動するのではなく、その行動によって好きになるということ。
悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しくなる。笑うから楽しくなる。
つまり、花に触れることで花を好きになり、花を飾るから心の豊かさを感じる・・・ということでしょうか。
「好き」は、その人の内発的なことではなく、外からの要因により決まるというのが大きなポイント。
花なら「花が好きだから買いに行くのではなく、買いに行くから(買ったから)好きになる」ということでしょう。
これらは、ほんの一部で、「好み」を形成するプロセス、しくみについて講演を通して大変示唆に富むお話をしていただきました。
先生の講義のあとは、小川先生のコーディネートでパネルディスカッション。
パネラーは、渡邊先生のほかに、博報堂買物研究所所長の髙荷氏、青山フラワーマーケットエキュート品川店ショップクリエーターの大草氏です。
最後はご参加のはこねフローリストさまのお取り計らいで、先生がこの機会に「めちゃくちゃ興味を持つようになった」という生花をサプライズプレゼント!
フリージアやスイートピー、チューリップなどの「春束」です。(春を束ねた”はるたば”。造語です)
ローズゼラニウムとスイートピーがとても良い香りを放っていました。先生も喜んでくださいました。
また、渡邊先生より花き業界へご提案で、花がきれい、かわいいでは生活者の共感は得られず、購買にはつながらないと。その花がどう人を変えていくか、どのような効果を与えるか、「花っていいよね」の先にあるものを伝える重要性をアドバイスいただきました。
ここにすべてをご紹介することはできませんが、講演は大変すばらしいものでした。
この度のセミナーの成功につき、渡邊先生、JFMA事務局をはじめ、ご関係のみなさまに心より感謝申し上げたいと思います。
それではみなさま、ごきげんよう。
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