花研コーヒーブレイク
この夏のオススメ本『山怪』は子供のころの怪奇現象体験集であった?
2019.08.05
こんにちは。ボンソワール桐生です。
子どものころ、割と大きな本屋さんが身近にあったのでよく書店に行きました。今ほど立ち読みも厳しくなかったため、5時間ぐらいマンガを立ち読みしていたことがあります。もはや迷惑以外の何者でもありませんが。
毎年夏になると、新潮夏の100冊という企画がありますね。結構好きで平積みから選んで読んだ記憶があります。キャッチコピーというものが面白いと思ったのもこの企画からです。
ところで夏に何を読もうかと思ったら、怪談か不思議な話が個人的にはお勧めです。山での不思議な物語を集めた『山怪』(さんかい)はいいですね。なにかよくわからないが日本の山ってこうだなあと何かそれぞれが持っている怖さがあります。宙に浮かぶ狐火、正体不明の足音、死者との遭遇、鬼の襲撃など、山で起こった怪奇談が綴られています。
そんな『山怪』にあるようなことを子供のころに経験したことがあります。
子供の頃、暗くなってから地元のちょっとした山に登ったことがあります。中腹に神社があり、山頂に休憩所がある、そんな構成で30分かかるかかからないかという高さです。友人と連れ立って登り、中腹の神社で私だけ脱落しました。それ以上は登るのが怖かったからです。浮浪者がいるという噂があり、もし山頂休憩所でそんなおっさんが寝ているところに遭遇したら・・・考えただけでも恐ろしかったのです。一人で友人二人が山頂まで行き、下りてくるの神社境内で待つことにしました。小山の神社ですから広くはありません。お堂があり、広場があり、常緑が植えてある、よくあるそんなところです。少しして、いたずら心が芽生えた私は神社の広葉樹、藪のようになったつばきか何かの裏に隠れました。下りてきた二人を驚かせようと企んだのです。
真っ暗ですが、晩秋で山道には落ち葉が積り、足音で友人たちがわかると踏んだのです。しばし待っていると、枯葉を踏みしめる音が聞こえてきました。近くまで来たように聞こえたので藪から飛び出しました。
・・・ところが、そこには誰もいませんでした。怖くなった私は走るようにして山を下り、灯りのある県道まで逃げました。数分後だったでしょうか、二人も下まで下りてきました。私が遭遇したことを話しましたが信じてもらえませんでした。山に怒られたのでしょう。
罰当たりな少年でした。
『山怪』は不思議なフィクションではなく、本当にあった話を集めているのかもしれません。
それではみなさま、ごきげんよう。