OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

令和幕開け前夜

2019.04.30

こんにちは。ボンジュール内藤です。

 

北欧でも北極圏にあるラップランド(実際にはノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアの四ケ国にまたがる地域)と呼ばれる地域を訪れたことがあります。そこにはサーミという原住民がいて、現在でもサーミの文化を守ろうと博物館(スウェーデンのヨックモックにあります)などがあります。

 

そのサーミは古よりトナカイと共生してきました。北極圏ですから、極寒で冬場は食料も少ない地域です。従って、トナカイの毛皮を衣類や靴にしたり、角は刃物などの道具に加工、もちろん肉は食料とします。移動はトナカイのソリ。

生活資源の少ないサーミの地域では、トナカイが生活の糧でした。トナカイを食料としていたといえども、決して無駄にすることはありません。トナカイ1頭のうち肉も皮も角もすべての部位において余すところなく活用し、とても大切に扱っていたといいます。

 

翻って、日本人の生活を思えば、サーミ族にとってのトナカイのような存在はきっと植物だろうと思います。(ほかにもあるかもしれませんが、植物は間違いなくその一つであるといえるでしょう)

飲食ばかりでなく、家を作り、衣服を作り、衣食住は植物で賄いました。縄文時代においては、植物で縄を作ってそれを土器の模様付けにも使ったりもしました。

ほかに現在に至るまでどんな使い方をしてきた(いる)でしょうか。思い浮かぶことを少しだけ列記してみます。

・飾って楽しむ、見て楽しむ

・治療に使う

・生け垣に使う

・農耕の適期を見定める

・季節の移ろいを知る、節句を祝う

・デフォルメして家紋に使う

・箸や食器、家具などに使う

・殺菌・抗菌効果を期待して使う

・染料とする

・色の表現に使用する(若草色、萌木色など・・・)

・神仏との交信に使う(身に付ける、供える)

・神事や禊ぎ、弔いに使う

・神の憑代として神聖視する

・占いに使う

・たしなみや精神の鍛練に使う(いけばななど)

 

このように書いていると切りがありません。用途は本当に多面的。日本人は昔から植物と共生し、豊かな文化を築いてきたのですね。日本人に限らない用途も多々ありますが、日本人と植物というのは、サーミとトナカイの関係ほどに密接に繋がっていることに気付かされます。

万葉集や古今和歌集などの古典で様々な植物が謳われ、1,000年以上にもわたり語り継がれる。それも得心がいくというものです。多くの人はそのような自分自身の植物愛に気付いていないかもしれません。しかし、日本人の精神には潜在的に植物に対する畏敬の念や祈り・感謝のような気持ちがあるように思います。

時代とともに、植物との接点は変わっていくと思いますが、これまでの花・植物の文化を大切にしながらも、これからきっと新しい花や植物とのかかわりが生まれていくるものと思います。

万葉集が出典となった「令和」の時代においては、安倍首相は「一人一人が花を咲かせる時代にしてほしい」という願いを込めました。植物を生業とするみなさまが人生の美しい花を咲かせ、さらなる成功と幸せを実現されることを祈っております。

 

それではみなさま、ごきげんよう。

また明日、令和時代幕開けの日にお会いしましょう。

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