花研コーヒーブレイク
11月1日 紅茶の日に倣う
2011.11.01
11月1日は紅茶の日なんだそう。
なぜと思えば、ロシアに漂着した大黒屋光大夫が、1791年のこの日に現在のサンクトベルクで女帝エカテリーナに茶会に招かれ、日本人として初めて紅茶を飲んだからという。日本紅茶協会が1983年に制定した。
紅茶が日本に初めて輸入されたのは1880年代だそうだが、その日ではなく、またあるいは日本に紅茶専門店がオープンしたというその日でもなく、光大夫が日本人として初めて紅茶を飲んだ日を「紅茶の日」とするところがなかなか面白い。
歴史に思いを馳せながら、いつものコーヒーの代わりに紅茶をいただくとまた格別。
そこで思う。
突拍子もない発想に思われるかもしれないが、花の生産者さんや海外から輸入される出荷者さんもご自身の品目で「●●の日」というのを作ってみてはいかがだろうか。弊社の花き情報提供サービス「ここほれわんわん」内の花暦カレンダーでも365日「何の日」を掲載しているが、花に関する日は非常に少ない。
「ミントの日」(3月10日)とあっても実はカネボウフーズさんが決められた食べるミントの販促日だったりする。
花き業界の良い例は、7月7日カスミソウの日。
福島の菅家さんをはじめとするカスミソウの生産者さんたちが発起人となって七夕にカスミソウを楽しもうと盛んにPRされている。
どうして七夕のこの日にカスミソウなのか。
カスミソウが咲いている姿が天の川に見えるから。カスミソウの品種で“ミルキーウェイ”(天の川)というのがあるが、カスミソウのイメージをうまく捉えた命名に思う。
文化的な歴史から見ても、七夕の日をカスミソウの日とするのは意味の深いことである。
日本で現在の七夕が生まれた奈良時代、宮中では「花合」(はなあわせ)をするようになり、七夕の日には花の歌を謳い合うようになった。そのときに良く謳われたのが「撫子合」(なでしこあわせ)だからである。常夏の異名を持つナデシコは昔から七夕の供え物でもあった。(詳細は「花研手帳2012」を参照)
何を隠そうカスミソウはナデシコ科。宮中で謳われたナデシコはカワラナデシコか何かで、もちろんカスミソウではなかったに違いないが、生活も文化も西洋化された今、日本の古き良き伝統文化を洋風のナデシコで楽しむというものいいではないか。
サッカーのナデシコジャパンが本年ワールドカップで優勝したのも7月。こちらの「ナデシコ×7月」の組み合わせは後から偶然生まれた追い風のようだが(神風というのか?)、生産者さんがご自身の出荷物をPRするという取り組みとしてはお手本とも言うべき良い例だろう。
NHKで「カーネーション」というドラマをやっている。
主人公の方へのインタビューで「好きな花はカーネーション。長持ちする=根性があるから」と。これからのシーズンは受験などの縁起物としてのPRもありではないだろうか。 色々な切り口や理由付けがある。
カーネーションであればイベントを母の日に留まらせることなく、「ナデシコの日」とか「カーネーションの日」などを作って更なる需要アップを図りたい。
いつもは朝コーヒーを飲む習慣だが、今日11月1日には紅茶をいただいた。なぜならそれは紅茶の日だから。
花を買おうと思ったときに、「何にしようか、そうだカーネーションにしよう。なぜならカーネーションの日だから」となるように「●●の日」を創っていくことが地味で大変な道のりだが、やはり販促の一つの手段なのではないか。
それが消費者のみなさまに花を使っていただく理由を作る、きっかけを作るということではないかと思う。