花研コーヒーブレイク
童謡チューリップ
2019.01.30
今週も引き続き、大田市場の中央通路では、1月31日愛妻の日に向けチューリップの展示が行われています。
中央通路は冷え冷えなので、チューリップもよく持っています。
さて、花のチューリップもこの時期素晴らしいのですが、童謡『チューリップ』といえばこちらも誰もが知る花を謳った素晴らしい歌ですね。
実は、「チューリップ」の歌詞は世田谷区の近藤宮子さん(お生まれは広島のようです)という方が、昭和5年(1930年)に作詞したものです。近藤宮子さんは国文学者藤村作(ふじむら・つくる)さんのご長女。
近藤さんは、「どの花見ても、きれいだな」というところに何色にも、何事にも、あるいは人は誰にでも良いところがあるので、認め合いたい、特に弱い者には目を配りたいという思いを込めたとおっしゃっています。
折しも日本は第2次世界大戦への助走を始めた頃。国内ムードは社会的・経済的にも不安定な時期だったことと思います。そのようなピリピリした中で、弱い立場の人への優しい思いを感じます。
そのような目でみると、チューリップのマーケットは、まるで人々の個性を象徴するかのように、多種に溢れています。1年間で大田花きに流通するチューリップの品種数は450-500種ほど。このマーケットサイズの品目なら、およそ300品種前後が相場です。チューリップは通常より1.5倍くらい品種数が多い計算になります。
たまたまですが、3本に3輪ついたチューリップ。卵を割ったら、卵黄が2つ出てきた時のような、ちょっと得した気分になります。
(すべてがこのようになる品種ではありません)
花弁が自由にそっくり返るパーロット咲きの品種。(スーパーパーロット)
同じくパロット咲きのネグリタパーロット。ネグリタはネグロ、黒の意味からでしょうか。
ユリ咲きで透明感のある美しいこちらの品種は楊貴妃。納得のネーミングです。
ヘレネ。球根付きの原種系も人気です。
コロンブス。コロンとはしていますが、ブスではありません。すごくかわいいです。
あ、いえ、歴史上の人名に由来していますね。すみません。
スレンダーなお姿は「桃太郎」。
「マリット」はモリッとしてきました。
フラッシュポイントは葉にも斑が入っているのがポイントです。
ユリ咲きオレンジ色のバレリーナは香りもあり、昔から人気。遠くから見ても色が映え、「バレリーナ、あれいーな」という感じです。
ブラックヒーロー。
マリリン。さすが、自由だ。自由すぎる。
フォートノックスは大輪で発色の良い黄色。遠くから見ても目を引きます。
上品なクリスマスドリーム。
オレンジプリンセス。
カバナ。んなバカナ。いえ、カバナです。
ダイナスティクラウン。
ホワイトハート。
実に、どの花見ても、きれいだな。
シンプルな歌詞の中にも深い作詞家の思い。個性的なチューリップは、個人を認め合う優しさと平和の象徴だったのですね。