OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

花を飾るスペース

2009.09.10

皆さんのご自宅には「床の間」はあるでしょうか。

 

先日、仕事で遠野に邪魔した時、たまたま築120年にもなるお宅を拝見することができました。

厩と人家がくっついていて、上から見るとL字型に造られている昔からのこの家造りを「南部曲がり家」というそうなのですが、このような家には神棚、仏壇、床の間が最初から造り込んであります。神棚も仏壇も後付けではなく、設計の段階から造りに組み込まれているのです。 

このような家は、それだけ日常生活の中で花を飾るスペースが確保されているということになります。

 

最近の住宅はどうでしょうか。

先日、ある方の手助けにより、某大手不動産の部長さんたちのお話をお伺いする機会を得ました。

その方たちのお話によると、やはり最近のマンションは「床の間どころか、和室すらありません」ということでした。和室はその時のお客様のご要望に応じ、畳を入れるなどの臨時対応をされるそうです。 

都心部のマンションから床の間が消え、仏壇や神棚を設置するご家庭も少なくなっているということは、つまり花を飾るスペースもなくなってきているということなのでしょうか。

下の表をご覧ください。平成15年までのデータしかありませんが、黄色でマークされているところが総務省が発表した1住宅当たりの延べ面積、および畳数です。

 m2percapita

 上の数字をグラフにすると、次のようになります。

 m2perhouse2  tatamipercapita2

つまり、1住宅当たりの面積も、1人当たりの専有面積も増えてきているということになります。

 

おまけですが、1世帯当たりの人口は下のグラフのように減少傾向にあります。

populationperfamily

 

住宅の専有面積が広くなっている一方で、そこに住む人数が減っているわけですから、必然的に1人当たりの居住空間における専有面積は伸びていくわけですね。

 

話は戻りますが、床の間があるということは、その分花を飾る技術が必要であったり、その空間に負けない花材や花器が必要です。

花を飾るスペースを確保しているようで、実は「花を飾る」ということに対し慣れない方などは敬遠気味になってしまうことがあるのも事実でしょう。

一方、床の間のような大上段なスペースがないということは、居住者の「花を飾る」ことに対するバーが下がり、どこにでも好きな空間に自由なスタイルで、気軽に花を飾ることができるということなのではないでしょうか。

 

花を飾る定型の空間が減少する一方で、フリーに使える空間が増えてきているという日本の居住スペースの変化から、わたくしどもはこれから日本人の花に対する親和性は高まり、ホームユースの消費が増えていく可能性を秘めているのいではないかと考えています。

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