花研コーヒーブレイク
疲労回復の温度
2018.09.04
続・疲労回復の科学。
梶本修身先生の疲労回復の本を拝見していると、今日から実践できる内容が具体的に記載されています。
昨日ご紹介した昨日ご紹介した花きのグリーンの香りをかぐという例然り。屋外では「サングラスをかけましょう」然り。
(その割に、もっともタフなプロスポーツの一つとされるテニスのプレーヤーでは、サングラスをかけている人がすこぶる少ない。何となく理由に察しはつきますが)
今日から実践できる内容例として、オフィスの温度設定も疲労に大きく影響するのだとか。
その話は、
「シンガポールの発展は、私(建国の父と呼ばれたリー・クアンユー元首相)の力ではなく、クーラーの力である」
というリー氏の言葉から始まります。
シンガポールばかりでなく、ドバイ、ムンバイなど、赤道に近く暑い国や地域の急速な発展の裏には、クーラーの力が大きかったと。
私たちの自律神経は、体内の環境を良好に保つホメオスタシスを維持しようとします。ところが、高温多湿の環境下では、乱れがちなホメオスタシスを維持しようと、自律神経が過度に働き続けることになり疲労に繋がるのだそう。
一方、クーラーが効いた快適な環境下では、自律神経は過度に働く必要がなくなり疲労が軽減するため、なんと生産性までアップすることになる!!シンガポールなどの発展はこの環境設定によるところが大きいと言われることが多いのだとか。
翻って国内を鑑みると、クールビズでは28度設定を推奨していますが、梶本先生は28度未満、できれば25度程度の環境づくりを勧めています。
実際、エアコンメーカー(多分ダイキン工業かと。HP等で公開しています)とのパイロットスタディによると、設定温度を28度に設定すると1時間あたり、電力およそ7%を削減できますが、25度で同じ作業を行った場合に対して、生産能力が最後の1時間で15%低下したのだとか。
つまり、省エネに見えて実はエネルギーの浪費を引き起こしているわけです。28度設定では、健康を損ねるリスクが高まり、残業も増えて結局はエネルギー省量が増えるという皮肉な結果を招くと結論付けています。
「業務効率、経済生産性、従業員の健康の点からも、28度は間違っている。25度付近で室温を保った方がいい」のだそうです。
なるほど、28度設定といえども室内の居場所によって温度は変わりますし、とりわけ筋肉量の多い男性にとっては体感温度30度くらいに感じる場合もあるでしょう。ところが、確かに言われてみると夏場のエアコン設定も実は26度くらいにすると、気温にストレスを感じずに(というか、気温についてなにを考えることもなく)仕事に集中することができます。
また、例えばテレビのバラエティ番組を見ていると半袖の人や長袖の人、はたまたnearly nakedの人から着物を着ている人までいますが、いつだったか聞いた話ではスタジオは20-22度くらいのようです。ただかなり照明が当たりますので、体感温度はやはり24度くらいになるのではないかと、勝手に想像しています。
そう考えると、25度前後というのが私たちにとってストレスが最も少なく心地良いと感じる温度であるのは、経験値的にも納得のいく話です。
以前北欧の人が、「最も快適な温度は5度だ」と言っていましたが、これは規格外。多少生まれ育った環境によっても快適温度は異なるかもしれません。
いずれにしても節電を最重要事項とするのではなく、人(ヒト)基点で快適な住空間、オフィス空間を作っていくということが、健康にもつながり、仕事の効率アップにもつながり、個人と企業の相互利益になっていくように思います。