花研コーヒーブレイク
仏花・短冊・吹き流し
2018.07.26
7月盆に引き続き、そろそろ8月盆のシーズンです。
7月盆の時には、いつものスーパーで、地元のおばあちゃまが「おがら」などを抱えるようにして、半歩ずつ心許ない足取りで持って帰っていました。こんな光景を目にすると、いとおしくなるというか、情が移ってしまうというか、ついお手伝いしたくなってしまうものです。声をかけると怖がられそうで、結局は目で見送るだけなのですが。
さて、そんなお盆にもたくさん流通する「仏花」ですが、赤、黄、白、青など様々な色を取り入れ、色彩豊かに仕上げます。
ご存知の方には釈迦に説法ですみません。今日は、その彩に理由があるという話です。つい先日、超一流生花店Aさまに教えていただきました。Aさまのお店は多くの芸能人、超名人が御用達という高級生花店でもありますが、お忙しい一方で本当に頭が下がるほどの勉強家でもいらして、室礼(しつらい;生活の場や儀式の場を作ること)を現在学ばれているとのこと。
仏花には様々な色が取り入れられていますが、五色が原則なのだそうです。
五色とは、青(緑)、赤、黄色、白、黒(紫)です。五色の意味は、そもそもは陰陽五行から生まれたもの。木火土金水の五気を象徴し、時間と空間を統合し、宇宙そのものを表現しているのだそうです。
木(もく)-青(緑)⇒春の象徴。花や葉で樹木が原義。
火(か)-赤⇒真夏の象徴。光り輝く炎が原義。
土(ど)-黄⇒四季の移り変わりの象徴。万物を育成する性質を表す。植物の発芽が原義。
金(ごん)-白⇒秋の象徴。金属の堅固・冷徹を表す。土中の鉱物・金属が原義。
水(すい)-黒(紫)⇒冬の象徴。胎内と霊性を併わせ持つ性質。湧き出て流れる水が原義。
このように意味があって仏花に5つの色を取り入れるものだと教えていただきました。
さらに言えば、その色は仏花だけではなく、5月のこいのぼりの最上部に設置する吹き流しも然り。そのほか神社仏閣などの催事で用いられる幟(のぼり)や能舞台の揚幕、七夕の短冊の色がカラフルなのもこの陰陽五行の思想に基づいているのだそう。
ついでに、7月11日の小欄にもちょこっと書かせていただいた「色名+い」と表現するのは、この陰陽五行に関連する4色のみ。「みどりい」と言わないのは、ココにも確たる理由があるのです。(と思っていたら、先週の土曜日、会社の後輩から「私、普通に“みどりい”って言っていました」というカミングアウトがありました。これが徐々に“普通”になっていくんでしょうな)
色 五行 季節 方角 星座
青 木 春 東 青龍
朱 火 夏 南 朱雀
黄 土 長夏(土用)
白 金 秋 西 白虎
黒 水 冬 北 玄武
こんなこともちょっと頭に入ると、今度から仏花を見る目が変わりそうですね。
一方で、その伝統的な文化に捉われず、現在のインテリアとマッチするような、とてもファッショナブルな仏花提案というのもカッコイイと思います。