花研コーヒーブレイク
やば。
2018.07.06
作家、脚本家の内館牧子の著書「カネを積まれても使いたくない日本語」(朝日新書)が面白い。
ありがちな「ら」抜き言葉を筆頭に、乱れすぎた日本語使用例を紹介する。
「検査を受けさせて頂き、他のメンバーとも相談させて頂き、治療に専念させて頂くことにさせて頂きます」との芸能コメントに対して、“させて頂きすぎだろう”と指摘。
これはいままで気にしたことがなかったが、早速今朝NHKのニュースでインタビューを受けていた若い男性が「実感させていただいた」と話していて、なるほどこういうケースをいうのかと妙に納得。確かに、「実感」はさせていただくものではなく「する」ものだろうから、過剰ではありますな。
薬剤師が「病院さん」と連発するなど、機能を指している時でさえも何にでも「さん」や「様」をつけることを嘆く。しまいには、内館さんの経験談として、デパートに行ったときに、
「おコート様のほうと、おバッグ様のほう、お預かりいたします」
様を付けるのも変だし、カタカナ語に「お」を付けるのは何の職業かと思うし、さらには「ほう」は不要でしょう。
以下ぜ~んぶNGとばっさり切り捨てるところが共感できるし、痛快極まりない。
(花に水を)(猫に餌を)「あげる」×
「しつけに厳しいお母さんのおかげ」×
「お手洗いのほうは3階のほうになります」×
「たぬきうどんでお待ちのお客様~」×
(美容院のシャンプー台で)「おかゆいところ、大丈夫ですか」×
「手応えはあったのかなと思います」×
どこがNGか不明な場合は、内館さんの本をご覧ください。とりわけ、最後の「かな」表現に、内館さんは身の毛もよだつと。
また、何にでもくっつける「的」「系」「感」「カタチ」表現は断固回避したい、会社の先輩や上席への相槌の打ち方にもダメを出す。
このような内容を読んでいると、電車やモノレールの中で吹き出しそうになるので、できるだけ壁に向かって立ってこっそり読んでいる。ちょっと変な人に見えるかも!?
めちゃウケるんですけど!と思いながら乱れすぎた日本語の使用例を笑っているうちに、笑えなくなってきた。
「めっちゃ」はよろしくないと。
やば。今度は耳が痛くなってきた。どうもすみません。
と思っていたら、今度は「やば」がNGワード。この言葉を聞くと絶望すると^ ^;アチャー
しかし広辞苑には「やば」が載っていて、十返舎一九の『東海道中膝栗毛』に出てくるのだそう。
「おどれら、やばなこと働きくさるな」(不都合なこと、けしからぬこと)
←十返舎一九の墓(勝どきにて撮影)
使い方は現代の「やば」とは違うらしい。
この本には書いていないが、どうしても直らない私の悪い言葉癖がある。直したいと思いつつ、10年くらい経つだろうか・・・(恥)
これは直そうと思わないと死ぬまで直らないだろうから、今日から直す努力をしよう。
言葉は変化するものという主張するのも理解できます。実際そうですし、止めることはできません。
一方で、乱れた文法で、耳障りな言葉や品のない活用が氾濫するのも残念なことと感じます。乱用される間違った表現に違和感を感じるのも、まともな感覚ですし、失いたくないものです。
トレンドの流行語は使ってみたいものですが、若い人の言葉をマネするだけでは、きれいではなくなってしまった世代に達した今、もう少し自分の使う言葉を矯正しようと思います。
それではみなさま、良い週末をお過ごしくださいませ。