花研コーヒーブレイク
一粒万倍と赤いスイートピー(赤いスイートピークラブ本年度反省会)
2018.06.01
しつこくてすみません。赤いスイートピークラブ、最終章の後は反省会です。
拙宅ではタネはほとんど採れなかったのですが、ショチョさま宅では豊作で次から次へとタネを鞘ごと持ってきてくれました。
すごいですねと言うと、
「実は、一粒万倍日にタネを播いたんだよ」
と。
一粒万倍(いちりゅうまんばい)とは、一粒の籾が(それを播いて、収穫に至ると)万倍もの稲穂になるという意味で、思いが成就したり、何事もこの日にスタートすると豊かに実るということから、縁起の良い日とされています。
そういえば、アタクシは何も考えずに、タネから発芽したら定植してしまったなー。次回は一粒万倍日に播種しようと思います。
一粒万倍日を、宝くじを買う場合に気にされる方もいらっしゃると聞きます。1か月に何日かあり、今年の一粒万倍日は弊社発行の「アイデアノート2018」に記載されていますので、是非ご参照ください。
さて、一粒万倍日に播種したことが功を奏してか、ショチョさまが持ってきてくれたタネは、鞘も大きくふっくらとして、立派なものが多いです。
まとめて一つの袋に入れていたのですが、昨日(5月31日)、あるスイートピー博士が弊社にお越しくださり、いろいろ指導を請いましたら、まずはタネを選別しないといけないと。
外側の殻が割れているものや小さいもの、形がいびつでコロコロと転がらないものは、芽が出ても良い苗には生長しないので、タネの段階で選別をする必要があるのです。
このように↓外の殻が割れているもの、いびつなものは、さようなら。
皮が割れたものを水に浸けると、ぬぁんと納豆菌が繁殖して糸を引くようになるのだとか。
それらを取り除いた優良なタネはこちら。
なるほど。コーヒー豆も、挽く前に小さな粒や形が崩れている豆を取り除くとえぐみや雑味がなくなると聞きますが、やはり優良なものだけを残して栽培するということが大切なのですね。ほんの数十粒を選別しただけですが、スイートピーの育種家様や自家採種される生産者様のご苦労の一部が偲ばれます。
タネは硬実(こうじつ)という、硬い殻に覆われています。
カミソリややすりで傷つける、あるいはコンクリートなどにこすり付けて、芽を出しやすいようにするといいそうですが、昨年はシャーレーで水に浸し、発芽させました。
プロの育苗家の方たちは、濃硫酸にタネを浸して硬実を溶かすのだそうです。濃硫酸は、硬い殻だけをうまい具合に溶かしてくれるそうです。しかし、ご近所の薬局ではなかなか販売していないので、趣味の園芸レベルであれば、やはり何らかの形で傷を付けて発芽を促すのがいいでしょう。
ところで、このタネからぴょこんと出ているのは、何でしょうか。付いたままで問題ないのでしょうか・・・と博士に伺いました。
「鞘に入っているときのへその緒のようなものだよ。取っても大丈夫」
ほんとだ。これで鞘と繋がっていたのですね。
スイートピーのタネは、どんなに大きくてふっくらとした鞘でも、せいぜい10粒くらいしか入っていません。そこから選別して良いものだけを残し、濃硫酸で処理して、発芽を待って・・・と考えると、労力のいる品目です。
しかも切花として栽培する場合にも、作業時間の長い品目の代表例としてよく例に挙げられます。
英国や諸外国ではスイートピーはガーデンの花として認識されているそうですが、やはり切花として栽培できるのは、精神的にも技術的にも作業的にも日本人ならではのものなのかもしれません。
すごいねー、日本人。
というか、スイートピーの生産者さまや研究に携わっていらしたみなさまがすごい、ということですね。
ちなみに、昨日いろいろ教えていただいた博士から面白い話。
最近の新入社員さんなど若い方に、
「水と肥料を切ってください」というと
「どうやって切るのですか」と質問されるそうです。
むむ?
つまり??
ハサミで切れない水をどうやって切断すればいいのか・・・という質問だったそうです。
落語か一休さんのとんちかと突っ込みたくなるような面白い光景が目に浮かびますが、これを質問されたときの衝撃は大きかったことでしょう。日本語を学ぶ外国人ならわかりますが^ ^;
世界に誇る日本の花き生産技術を伝授するのに、日本語表現では伝わりにくくなっているということでしょうか。
それではみなさま、良い週末をお過ごしください。